ドラフト会議が始まってもう2時間。インターネットの速報を一緒に見守っていた野球部の仲間が喜びを爆発させると、日大藤沢高の金子の頭によぎった不安は一瞬にして消え去った。
パ・リーグの名門、西武からの4位指名。「5歳のころから憧れていた舞台。うれしい」。歓喜の声に包まれて、夢の扉が開いた。
1年の夏から4番ショートを務めたが、高校3年間、県外大会への出場はゼロ。全国的には無名だが、それでも自信はあった。「守備力は誰にも負けない。走攻守において積極的にプレーする。ポジショニング、守備力が評価されたと思う」。そう胸を張った。
松井(桐光学園高)とは春季県大会の準決勝で対戦。左中間を破る適時二塁打を放ったが、最後の打席はスライダーを空振り三振し、チームも敗れた。今は置かれている立場も、力の差も大きいが同じリーグでの再戦を心待ちにしている。「少しでも早く対戦して、借りを返したい」
日大藤沢高としては2005年の黒羽根(横浜DeNA)以来となる指名。山本秀明監督(43)は「後輩、先輩から自慢話になるような周りに活力を与える選手になってほしい」と言葉を贈る。金子は胴上げしてくれた仲間に力強く言った。「みんなの期待に裏切らない努力をして、日本を代表する選手になる」