社会人野球の第71回東京大会は9日、横浜スタジアムなど3会場で1次リーグ3試合を行って開幕し、JX-ENEOSは4-4の九回に新人の谷田成吾(慶大)が中前適時打を放ち、5-4で鷺宮製作所にサヨナラ勝ちした。東芝は打線が振るわず、明治安田生命に0-2で敗れた。
また1次リーグ5試合が雨天中止となり、10日に横浜スタジアムなど3会場で行われる。大会日程も1日ずつ繰り下げられ、準決勝、決勝(ともに神宮球場)が行われる最終日は13日になる。
大会は16チームが4ブロックに分かれてリーグ戦で争い、各ブロックの1位チームが準決勝に進出する。
◆JX・谷田 V打で再出発飾る
打球には再出発への思いが込められていた。4-4の九回1死満塁、JX-ENEOSのルーキー谷田が初球のストレートを捉えると打球はセンターへ。チームをサヨナラ勝ちに導き、「調子は悪くなかったので、自分ができることをしようと思った」と笑った。
昨秋のプロ野球ドラフト会議で有力候補に挙げられながら指名漏れ。しばらくは失意の中で過ごしたが、慶応高、慶大で活躍してきた左のスラッガーは「2年後に指名されるような選手になる」と心に決め、今は社会人野球の名門で練習を重ねている。
この日は5番に座り、一回の適時二塁打を含む3安打2打点の活躍。和嶋利博監督(46)は「取材もたくさん受けて期待を背負っていた中で不安もあったと思う。よく結果を残してくれた」と目尻を下げた。
もちろん、これで満足するような22歳ではない。「まだ1試合。次に向けてしっかり準備していきたい」。再び夢に向けて走り始めている。