
【カナロコスポーツ=佐藤 将人】平田新監督になって初めての夏に、横浜高校が本塁打の大会記録を塗り替えたのはもちろん、偶然ではない。振る力をつけさせ、振らせた。実にシンプルだが、横浜にあっては大変革と言ってよかった。
消えた緻密さ?
パワーに注力していけば、気になるのは野球の質も大味にならないかということだ。この点、長年「打倒横浜」「打倒渡辺」を掲げてきたライバルたちの意見はおおむね一致している。
「野球自体は、以前ほどの緻密さはなくなった」
例えば昨年まで慶応を率い、エンジョイベースボールを掲げて2008年夏に甲子園ベスト8まで進んだ上田誠・現副部長はこう語る。

「内外野のカバーリング、中継の入り方もそうだし、今までなら絶対に打ってこないカウントで手を出してきたり。根本は変わっていないとは思うけど、渡辺さんの横浜とは違う野球だった」
つまり、隙が見えたと。
「キャッチャーのリードにしてもそう。藤平(尚真=ドラフト1位で楽天へ)の攻略として、打者がぶんぶん振っていくとスライダーが多くなるのがわかっていた。決勝も予想通りの配球だった。しかも直球の球威が思ったほどでもない。だから、七回に攻略できた」