
スコアボードに刻まれた得点は、横浜隼人の1年の積み重ねだった。
一回、先頭打者の浅見の死球を皮切りに無死満塁とし、小泉の犠飛で先制。横浜の今大会連続無失点を27回で止めると、1-4と逆転された直後の二回2死一塁だ。
「自分たちは逆転の隼人。ここから逆転するぞと声掛けをしていた。長打で流れを変えるつもりだった」と打席の浅見。初球の内角低め142キロの直球を振り抜き、右翼席への2ランとした。
昨夏も準々決勝で横浜と対戦。4-1からひっくり返された。この日と同じく1番で出場した浅見は2安打1得点と活躍するも、抑えの藤平には1打数無安打。「昨年は速球に押された。今度こそリベンジしたかった」との思いをぶつけた1年間、そして一発だった。
一回の絶好機で1点にとどまり、総力戦を見越して送り出した投手陣が16失点。「一回無死満塁が勝負のあや。もう少し点を取れていれば」。水谷哲也監督(51)は悔やみながらも「ワンパンチくらいは与えられたかな」と、浅見の一打にチームの歩みを見て目頭を熱くする。
速球に振り負けないため、打撃マシンを170キロに設定して打ち込み、総スイング数は1日千超。「速い球を打つことを1年間意識してやってきたので昨年よりも速いと感じなかった。1年の成長かなと思う」。浅見は最後の夏をそう結んだ。