3、4番猛打止まらず
アップテンポな新応援歌の大合唱に乗り、勢いづいた日大はノンストップで攻めた。
序盤の3点差をじりじりと追い上げ、同点の八回。先頭梅島が中前打で出塁すると、伊藤謙吾監督(43)が「賭けですけど、流れがきていたので」と初球にバスターのサインを送る。
これに渥美が応えて左中間を破り、無死二、三塁。続く黒木は2球目をたたき、8年ぶりの8強を呼び込む決勝の2点中前打となった。
「スタンドも一つになって、いい雰囲気だったから勢いに乗れた」。今春の関東大会でセーフティーバントした際に太ももを肉離れし、今夏の3回戦で復帰したばかりの黒木。小技とスピードがある2番打者が復帰し、昨秋4強、今春準優勝の役者がそろってきた。
打線は4試合で38得点。ここまで3番丹羽が2本塁打、11打点で目立っていたが、4番の主将須永も負けていない。
「流れを変える一打がほしかった」と四回に左翼へ2ランを運ぶと、六回2死三塁ではバットを短く持ち、しぶとく右前に同点打。今夏14打数9安打10打点の主砲は「先に3点取られても、自分たちの野球ができればこの結果になる」と自信がみなぎっている。
エース森井も満を持して今夏初先発。序盤に2発を浴びたものの、五回以降は無安打と危なげなかった。就任20年目の伊藤監督にとって、選手層の薄さに泣かされる夏が続いてきたが、「涼しい中で試合ができているのも好材料。今年のチームには運がある」とうなずく。初の甲子園に向けて日大は止まらない。
○日大・エース森井(今夏初先発。2本塁打を許すも完投勝ち) 序盤は緩いボールで攻めて裏目に出た。野手に迷惑を掛けたので、次は抑えていきたい。
平塚学園・高田 直球勝負 悔いなし
自らのソロアーチなどで挙げた3点のリードを背に、平塚学園の3年生エース高田は「抑えるだけだ」と息巻いていた。
だが、気持ちとは裏腹に調子が上がらない。ここまでの3試合で247球を投じていた右腕に、八木崇文監督(37)が「疲れが出始めた」と見たのが六回。2死無走者から3、4番の2長短打で同点とされ、八回には3連打を浴びて勝負を決する2点を失った。
打たれたのは1年のときから県内外の強打者をねじ伏せてきた直球。あくまで背番号1は「疲れはなかった。実力不足」と力負けを強調した。
2013年の神奈川大会。当時の中学3年生は0-3で敗れた横浜との決勝を見届け、「気迫を前面に出す平学野球」に憧れたという。
「後輩の手本になれたかわからないけど、全力勝負はできた」。9安打5失点で完投。気迫が前面に出た125球だった。