接戦制す148球
粘り勝ちだ。神奈川工のエース浅海が9安打ながら11回2失点。148球の熱投で延長十一回のサヨナラ勝ちに導いた。
七回から十回まで毎回得点圏に走者を背負ったが、窮地の連続にも崩れない。十回2死一、二塁でも5番打者を外角直球で三ゴロに。力強い直球で四隅を突き、スライダーとのコンビネーションもさえ渡った。
気持ちの入った投球は野手に届いていた。十一回2死二塁で、サヨナラ打を放ったのは同じ3年の滝井。「粘って投げてくれたので、得点を取ってやりたかった」と言えば、浅海は「やっと終わった」と安堵(あんど)した。
エースは走り込みだけでなく、入学早々から早朝の校内のモップがけも欠かさなかった。「必ずプラスになると思って」と続けてきたら、心身ともにタフさを身にまとっていた。
高校卒業後に就職する予定の右腕にとって、負けは野球との別れも意味する。「この大会で未練をなくすつもりです」。譲れない夏は続く。