(16日の試合結果はこちら)
第98回全国高校野球選手権神奈川大会第5日は16日、サーティーフォー保土ケ谷球場など10会場で1、2回戦21試合を行った。
14日に降雨引き分け再試合、15日も降雨ノーゲームとなった逗葉-秦野総合の最後の1回戦は、秦野総合の山形大(3年)が九回2死二、三塁から同点三塁打を放った後に敵失でそのまま生還し、6-5で逗葉にサヨナラ勝ちした。
麻生総合は右腕峯田翔太(2年)の6安打完封で合同チームの釜利谷・永谷・三浦臨海・横須賀明光を2-0で下し、創部13年目で初勝利を飾った。住吉は1年生右腕の横山篤志が被安打6で完封し、神奈川大付を1-0で下した。柏陽は多田雄一(3年)が完投して6-2で荏田を破った。
大会3連覇を狙う東海大相模は10-0でアレセイアに五回コールド勝ちし、第1シードの日大も11-1で津久井浜に大勝するなどシード校勢はいずれも勝ち上がった。
第6日は17日、10会場で2回戦21試合を行う。
秦野総合 山形 殊勲の好走塁
3点を勝ち越されて臨んだ九回。秦野総合は先頭八木からの3連打などで1点を返し、なおも2死ながら一打同点の二、三塁の好機を迎えていた。
14日は雷雨により延長十二回引き分け再試合となり、仕切り直しの15日も降雨ノーゲーム。3日間に及んだ戦いにも打席の山形、いやナイン全員が「野球を楽しもうという気持ちは切れていなかった」(山形)という。
予想していた初球の変化球を逆方向へ。打球は前進守備の右翼頭上を越え、三塁に疾走した山形は中継プレーがもたつく間にサヨナラのホームにまでかえってきた。
「何が起こったのか分からなかった」。14日に148球、この日も142球を投げていた主戦天野は集中から劇的な勝利を一瞬、のみ込めなかったという。「自分が打たれた後によく打ってくれた」。ほっとしたように仲間をたたえた。
あいさつを終えた後、両チームの主将は抱き合った。「任せたぞ」。逗葉の小間の言葉に、秦野総合の福田がうなずく。「逗葉のためにも必死に勝ち上がっていく」
逗葉 福西「ずっと続けたかった」
勝利を目前にしながらサヨナラ負けを喫した逗葉ナイン。延長戦の末に雷雨で引き分け再試合となった14日から20回を1人で投げ切った右腕福西は涙が止まらなかった。
1点を返され、2点差に迫られた九回2死二、三塁。福西の投じたこの日143球目は右翼へ打ち返され、三塁打の打者走者にも中継ミスから生還を許した。
「疲れはあったが、気持ちで投げた。最後に力んでしまい、外すはずの球が真ん中に行ってしまった」と悔やむ。しかし、高野浩監督(54)は「粘り強く投げてくれた。もっと早い段階で点を取っていれば」と力投をたたえた。
「みんなに応援してもらい、野球が楽しかった。ずっと続けたかった」。降雨ノーゲームになった15日を含めた3日間の経験は、メンバー全員の大きな自信になったはずだ。