県高校野球春季大会(県高野連主催、神奈川新聞社など後援)最終日は1日、サーティーフォー保土ケ谷球場で決勝を行い、横浜が11-1で日大を下し、2年ぶり12度目の優勝を飾った。横浜は昨秋に続いて2季連続の県大会制覇。
横浜は五回に公家響(3年)、福永奨(2年)が2点本塁打を放つなど15安打で11点を奪った。エース藤平尚真(3年)は6回を3安打1失点に抑えた。
横浜、日大の両校は21日から5日間、群馬県の上毛新聞敷島球場などで行われる春季関東大会に出場。両校は2回戦から登場し、日大が21日に同球場で関東第一(東京1位)、横浜は22日に高崎城南球場で高崎健康福祉大高崎(群馬2位)と対戦する。
チーム内競争が活力
期待のスラッガー万波ら1年生3人を1番から3番に並べ、計20人が出場した決勝で快勝した。横浜がライバルに付け入る隙を全く与えず、春を締めくくった。
圧巻は五回2死から4連打だ。申が安打で出塁すると、主将の公家が今春の公式戦で3本目となる一発を左翼席に放り込む。さらに二塁打の藤平に続き、2年福永が2ランを運んだ。
決勝を含めた9試合で94点を挙げ、許した失点も7点だけ。公家は「夏に向けて神奈川では敵なし、断トツで勝つつもりだった」と圧倒した戦績にうなずいた。
チーム内の競争が活力を生んでいる。藤平、石川の両エースは双璧で、福永も徳田との正捕手争いを繰り広げる。昨夏の4番公家を6番に追いやったのは、東海大相模戦で逆方向に特大アーチを架けた勝負強い村田。1年生の台頭も当然、「いい刺激」(公家)になっている。
名門も過去2年、甲子園から遠ざかり、“聖地”を知らない藤平や公家ら3年生にとって今夏がラストチャンスだ。昨秋の関東大会初戦で敗れてから、平田徹監督(32)は、選手たちに二つのことを言い続けてきた。
「横浜高校の選手は、本当に楽しそうだなあとスタンドで見る人が感じるように野球をやってくれ」。1年生でもレギュラーでなくても、萎縮せずに持てる力を発揮させることが狙いだ。
もう一つが、「春の大会で、横浜に勝てるチームはないと意識付ける。夏は勝てるかもという印象を相手に持たせない」。その言葉通り、横浜が強さを示した大会だった。
◆「関東では完封を」
横浜のエース藤平は試合前から右脇腹に違和感がある中で先発し、6回1失点。「三回ぐらいからちょっとつっていた。直球とフォークボールで押すつもりだったが、アクシデントもあってスライダー中心に切り替えた」と淡々と振り返った。
この日は打席でも二塁打3本で3打点と、投打で優勝に貢献。プロ注目の右腕は今春、2回戦から3度の先発を含む全6試合に登板し、21回を投げて自責点3だった。それでも「納得の投球はできていない。関東大会までにしっかり体をつくってパワーアップし、完封できる投手になる」と誓っていた。
気迫プレー、一矢報いる 日大、堂々準優勝
夏こそ戦える。横浜に力の差を見せつけられた日大ナインだが、この完敗に明日への光を見いだしている。
先発は今大会初登板の3年右腕白須。五回2死から5番打者に中前にはじき返されると、続く公家に投じた内角高めのストレートが中に入った。「ボール1個分、甘くなった」。そう悔やむ失投を左翼席に運ばれ、マウンドを下りた。
それでも、五回2死まで4安打1失点。「当てるくらいの気持ちで内角をえぐってやる」という攻めの投球が名門にも通用することを示した。
中学時代にウエートリフティングの全国中学校大会で5位入賞したパワーの持ち主。その力を生かしたボールは魅力十分だ。準決勝で右手首付近に死球を受け、決勝の登板を回避したエース森井を夏に支えるであろう、右腕は「きょうは攻めることができた」と悔しさとともに好感触もまた得ている。
打線は0-5の六回、先頭打者の長濵が横浜のエース藤平の直球を捉えて二塁打とし、続く渥美が「投手陣が頑張っていたから」という気迫で右前適時打を放った。
「いいピッチャーが相手でも点は取れる」。唯一の得点をたたき出したリードオフマンは自信を深めた。
11年ぶりの春の神奈川制覇は逃したが、投打がかみ合っての堂々の準V。関東大会、その先の夏の熱戦へ。道は続いている。
◆冬の努力実を結ぶ
横浜・平田徹監督の話 昨秋、関東大会で敗れてから、冬の間も選手が情熱を失わずに練習を頑張った努力が、ひとまず実を結んだのはうれしく思う。これをモチベーションに夏に向け、さらに頑張りたい。
◆夏に向けいい経験
日大・伊藤謙吾監督の話 ベンチの雰囲気から普段と違い、相手に食らい付いていく意識が足りなかった。ただ、夏に向けていい経験。関東大会は神奈川代表として恥じない試合をしないといけない。