高校野球の県春季大会(県高野連主催、神奈川新聞社など後援)第8日は2日、サーティフォー保土ケ谷球場で準決勝を行い、県相模原が八回コールドの13-6で橘に快勝し、春、夏、秋を通じて初めて県大会決勝に進出した。東海大相模も6-3で桐光学園を下し、ともに今月16日から山梨県で行われる春季関東大会の出場権を獲得した。東海が2年連続19度目、県相模原は初出場。
県相模原は森山皓介(3年)が初回に先制の適時二塁打を放つなど、4安打3打点の活躍。四回には2適時打で5点を奪い、橘を突き放した。
最終日は3日、午後1時から同球場で東海大相模-県相模原の決勝を行う。
【評】県相模原が、外角球を逆らわずに逆方向へはじき返す打撃で16安打13得点し、コールド勝ちした。初回に森山の二塁打で先制、四回には宮崎、木村の適時打で5点を奪い、中盤までに試合を決めた。宮崎は制球を乱しながらも要所を締める投球だった。
橘は先発寒水、2番手高田とも制球難からリズムを崩し、四回までに計11失点と試合をつくれなかった。
県決勝、そして関東への切符を初めてつかんだ県相模原。とどまることを知らない猛打で、創部52年目の歴史を、大きく塗り替えてみせた。
「開幕前から、関東へ行こうと全員で決めていた」。4安打3打点の4番森山が言えば、「内角は引っ張り、外は逆方向へ。すべて練習通り」と3安打の金子が続ける。
森山が右翼へ引っ張った2本は内角、左翼へ流した2本は外角の球だった。その打撃はチームで統一され、16安打13得点。4暴投、4失策の守りのミスもバットでかすませた。
県相模原は過去にも、県大会を中盤まで勝ち進むことがあったが、バントや走塁などの小技を絡めて1点を奪う野球が印象的だった。だが、今大会は8試合で96得点という驚異的な得点力をマーク。4強入りした昨秋以上に、“公立離れ”した打撃力が鮮烈だ。
就任4年目になる佐相眞澄監督(56)がグラウンドのベンチに「学校は公立。野球は私立」と掲げ、伝統のチームカラーをつくり替えてきた。打撃練習も工夫し、中心に穴の空いたネットを使い、打者の正面から内外に分けたトスを上げる。中学野球の指導者として全国大会を何度も経験し、高校野球に転じた前任・川崎北でも、私立に打ち勝てる野球の実績を積んだ佐相監督。初の決勝を前に「こうして結果も出てきて、今まで以上に手応えを感じている」と言い切る。
選手たちも「監督を信じてやってきた野球に魅力を感じる」と一つになって、初の大舞台で東海大相模にぶつかる。
あと一歩のところで快進撃は止まった。初の県大会準決勝で涙をのんだ橘。ただ、福田監督は「夏に向けて収穫になった」と今大会を通じて得たものの大きさを実感した。
序盤に勝負を決められた。先発のエース寒水は甘いスライダー、チェンジアップを捉えられ二回途中で降板。2番手高田もつかまり、四回までで11失点を喫した。
ただ、3番手伊藤が1回を無失点に抑えるなど好材料もあった。チームをけん引してきた寒水は「自分の力のなさで負けた。この負けは絶対無駄にはしない」と決意を口にした。