
新たな怪物誕生の予感がする。東海大相模の2年生右腕、吉田が史上4人目となる大会最多タイ記録の20奪三振。「率直に驚いた。三振が多く取れるなとは思っていたけど、リズム良く投げた結果」と笑った。
今大会5戦目の登板で初先発。「緊張して頭の中は真っ白だった」というが、先頭打者を追い込むと、鋭く縦に落ちる126キロのスライダーで空振り三振を奪い、圧巻の投球が始まった。
その後、2死二、三塁とされるも144キロの直球で空振りさせ、ここから6者連続三振。「調子が良く、真っすぐよりも腕が振れていた」。同じ振りで最速145キロのストレートが見せ球となるのだから、バッターはたまらない。
昨夏の準決勝で横浜に敗戦。「奥行きのあるピッチングをしよう」と思い立ったのが、1年前の主役、桐光学園のサウスポー松井(楽天)のスライダーだった。写真や映像を何度も見て冬場には投げ込み、「縦(スライダー)は振り落とす」というイメージのリリースポイントを会得した。
九回1死から20個目の三振を奪い、最後のアウトはエース青島に譲った。大会新記録には挑戦できなかったが「三振の数よりチームが勝てたことが一番良かった」という。「甲子園で大暴れする」と決意する兵庫・西脇東中出身の背番号11が、凱旋(がいせん)登板で新たな伝説をつくる。【神奈川新聞】