2点リードの九回2死満塁。東海大相模の門馬敬治監督(44)はここで、3番手の2年生左腕小笠原を迷いなく投入した。「あの場面って根拠ってあるのかな。一発勝負でしょう。理由じゃない」。サウスポーも理解していた。「(横浜が)気持ちできたので、こっちも(気持ち)」
自己最速の146キロを連発して2ボール1ストライク。4球目、微妙な変化で沈む142キロのツーシームを振り抜いた当たりは右翼正面へ。最後のアウトを奪うと跳びはねる。「速球を磨いてきた」と胸を張った。
「打倒、横浜」の思いが東海投手陣の根っこにあった。「ミーティングする時は、全員が最初の1行目に『打倒、横浜』と書いてからノートを取ってきた」。6回2失点(自責0)の先発青島はそう振り返る。
その背番号1は「真っすぐで押して最後はカットボール。高濱、浅間を想像して、1年間、練習してきた」。その言葉通り、プロ注目の主砲を3打席連続の空振り三振に仕留めた。執念が王者を圧した。
1年前の準決勝で先発し、六回途中7安打4失点だった吉田が言う。「去年との違いを見せようと、変化球を一段階磨いてきた」。この日は2番手で5奪三振の好投。宿敵を下し、頂点へと向かう。【神奈川新聞】