夏の甲子園と神奈川大会の中止を受け、県高野連が独自に開催する「県高校野球大会」第9日は9日、横浜スタジアムなど7会場で2、3回戦14試合が行われ、シード校の横浜商(Y校)や桐蔭学園などが勝ち上がった。
海老名は4─3で法政二に九回サヨナラ勝ち。平塚学園は4本塁打、日大藤沢も3アーチを放って快勝した。
県高野連は同日、未定だった5回戦と準々決勝や3、4回戦の一部日程の変更を発表した。第10日は10日、大和スタジアムなど4会場で3回戦8試合が行われる。
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横浜スタジアム
(1)横浜商-大磯(6回コールド)
横浜商
140 032|10
000 000|0
大磯
【評】横浜商(Y校)の積極打法が光った。初回に笹川が2球目を右翼席に運ぶソロ本塁打で先制、二回には犠打と四球を挟み4連打で4得点を奪った。笹川は投げても力強い直球で押し、4回無失点。大磯は初回に田原が二塁打を放つも散発2安打に封じられた。
○横浜商・小嶋監督(六回コールドに) 夏の大会独特の重みを笹川のホームランが吹き飛ばし、地に足をつけた戦いができた。
●大磯・主将瀬戸 二回の4失点で流れを渡してしまった。これまでの試合よりも緊張感と楽しさがあった。
●大磯・主戦田原 みんなで勝利を目指してやってきたのはいい経験。毎日の練習も鮮明に覚えている。
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(2)橘学苑-茅ケ崎北陵(5回コールド)
茅ケ崎北陵
000 00|0
052 03x|10
橘学苑
【評】橘学苑が好球を逃さず13安打10得点。二回に遠藤の二塁打を皮切りに6長短打で5得点を奪い、三回には中西のスクイズなどで加点した。先発国分は力のある直球で5回8奪三振。茅ケ崎北陵は3長打で好機をつくったが、1点が遠かった。
○橘学苑・主将上田 感謝の気持ちで野球ができた。お遊びの大会ではないので、勝つことを目標にして積み重ねてきたことを出したい。
●茅ケ崎北陵・主将菊地 相手の流れを止められなかった。横浜スタジアムという大舞台でやらせてもらい、感謝の気持ちで戦った。
●茅ケ崎北陵・中嶋監督 8月半ばまで野球をやれたことを誇りに思いたい。3年生は素晴らしい代で頭が下がる。一緒にやれて幸せだった。
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サーティーフォー保土ケ谷球場
(1)横浜商大-麻布大付(試合終了)
横浜商大
111 101 004|9
000 300 010|4
麻布大付
【評】横浜商大は、粘る相手を打力で振り切った。1点差とされた直後の九回、伊藤のソロ本塁打で追加点を挙げ、さらに3長打で加点した。4打点の高塚の働きや、5本の長打攻勢が光った。麻布大付は11安打。集中打で一時1点差に迫るしぶとさを見せた。
●麻布大付・主将村上(八回、適時打で1点差に) 最後まで負ける気はしなかった。監督が何度も代わった中、みんなの自立があったからここまで戦えた。
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(2)大和-横須賀学院(試合終了)
横須賀学院
000 020 024|8
100 002 000|3
大和
【評】終盤までもつれた3時間超の熱戦を横須賀学院が制した。四回以降、先頭打者の毎回出塁で重圧を掛け、2─3の八回に寺山の適時打、山本の押し出し四球で勝ち越し。大和は投手陣が11四球4暴投と乱れた中、2安打の久保田ら打線がつなぎ応戦した。
●大和・久保田(2戦無安打から2安打2四球) 迷惑を掛けていたので意地で打った。1試合かトーナメントか出場方法でチームの意見が割れた中、3試合も戦わせてもらい幸せ。
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大和スタジアム
(1)法政二-海老名(試合終了)
法政二
000 010 002|3
021 000 001x|4
海老名
【評】海老名が劇的なサヨナラ勝ち。同点とされた直後の九回2死無走者から今野が三塁打を放つと、敵失に乗じて一気に本塁を陥れた。3投手の継投で粘り強く守った。法政二は二回無死二、三塁などの好機を生かせず。九回に南雲が同点三塁打で気を吐いた。
●法政二・南雲(九回に一時同点の三塁打を放ち) ベンチに入れなかった3年生のためにも全てを出し切ろうという思いで振った。
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(2)大和南-寒川(試合終了)
寒川
310 000 004|8
202 000 020|6
大和南
【評】寒川が逆転勝ちした。2点を追う九回、代打鈴木の二塁打を足場に、宮川の走者一掃となる3点三塁打などで試合をひっくり返した。土壇場から各打者が勝負強さを発揮した。八回に勝ち越した大和南の粘り強さも見事。ただ、守りの乱れが失点につながった。
●大和南・上垣外(元エース、受験勉強のため大会前に引退もベンチ入り) 力になれず申し訳なかった。勝ちにこだわる姿勢をみんなのプレーから感じられた最高の試合だった。
●大和南・樋渡(二回から救援し) 小学4年生以来の登板だったけど、8イニングをしっかり投げられた。上垣外に頑張ってる姿を見せられた。
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サーティーフォー相模原球場
(1)柏木学園-有馬(7回コールド)
柏木学園
002 440 8|18
000 101 2|4
有馬
【評】先発全員の18安打に11盗塁を絡めた柏木学園が七回コールド勝ち。四、五回は敵失に乗じて足でも揺さぶり、4点ずつ奪った。下位の根来、秋葉がともに3安打と打線に勢いをもたらした。有馬は七回に山田凌の適時打を含む3連打で計10安打と打力は見せた。
●有馬・主将尾崎 3年生が少ない中で、後輩たちに支えられてきた。本当に感謝しかない。1勝することもできたし、最高の夏でした。
●有馬・中川監督 先発した1年生2人はほんの1カ月しか一緒に練習できてない。この暑さの中で一生懸命やってくれた。
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(2)松陽-日大藤沢(5回コールド)
日大藤沢
342 10|10
000 00|0
松陽
【評】日大藤沢の打線が3本塁打を含む8長打で圧倒。初回に姫木、山崎の三塁打などで3点を先制。以降も牧原の2ラン、姫木のソロ、山崎のソロで畳み掛けた。各打者ともスイングの思い切りの良さが光った。松陽は五回、代打上野が唯一の安打を放った。
●松陽・上野(五回に代打で登場し、チーム初安打) 腰を痛めながらも練習をちゃんとやってきて良かった。後輩にはやり切ったと思えるように練習を続けてほしい。
●松陽・主将関航 本当に強くて圧倒された。代打の上野はベンチの思いも乗せて打ってくれたと思う。感謝している。
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横須賀スタジアム
(1)桐蔭学園-横浜翠嵐(7回コールド)
横浜翠嵐
010 100 0|2
006 100 2|9
桐蔭学園
【評】好球必打に徹した桐蔭学園が快勝した。三回に5四死球と川久保の3ランで6点を奪って逆転。ボール球を見極め、甘い球を逃さない打撃が光った。3投手の継投で2失点と危なげなかった。横浜翠嵐は力の差が出たが、無失策と1併殺の守備は立派だった。
●横浜翠嵐・吉水監督 取れるところで点が取れず、点差が開いてしまった。選手たちは最後まで堂々と戦ってくれた。
○桐蔭学園・片桐監督(翠嵐の印象について) 一球ずつ(ベンチから)元気な声が出ていて一体感があった。主将を中心にまとまったチームで、こちらも勉強になった。
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(2)平塚学園-鎌倉学園(5回コールド)
鎌倉学園
000 30|3
600 07|13
平塚学園
【評】平塚学園が計4本塁打の一発攻勢で圧倒した。初回に大塚が先頭打者アーチを描き、楠田、栃木も続き6点先制。五回には栃木の2本目が飛び出した。各打者ともバットがよく振れていた。劣勢の鎌倉学園は四回に3点を返すも主導権を握られたままだった。
〇平塚学園・八木監督 例年通りやってきたので長打を狙ったわけではない。きょうの試合に限ってはすごく気持ちが入っていた。そういう部分が出たんだと思う。
●鎌倉学園・エース右腕荒川 配球うんぬんでなく、打たれたのは自分の責任。相手はよく振ってくるバッターが多かった。(後輩へは)投手陣を中心に引っ張っていってほしい。
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藤沢八部球場
(1)翠陵-アレセイア(試合終了)
翠陵
101 002 112|8
100 002 000|3
アレセイア
【評】打力に勝る翠陵が終盤に得点を重ね快勝した。六、九回の無死満塁の好機に犠飛や適時打で着実に加点。一、七、八回に砂川、広田、伊原が放ったソロ本塁打が効果的だった。アレセイアは序盤は互角。粘り強く投げた望月を打線が援護したかった。
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(2)湘南-相模原弥栄(5回コールド)
相模原弥栄
481 20|15
400 00|4
湘南
【評】相模原弥栄が長打力を発揮した。初回に石井の二塁打を皮切りに4点を先取。二回には神山のソロ本塁打などで8得点するなど、強打で主導権を握り続けた。湘南は序盤に大量失点。打線は初回、熊谷の三塁打で追いつくも以降は2安打にとどまった。
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小田原球場
(1)立花学園-藤沢清流(5回コールド)
立花学園
112 34|11
010 00|1
藤沢清流
【評】打線が活発な立花学園が序盤から得点を重ね五回コールド勝ちした。五回の集中打は見事。2死二、三塁から3連打と相手失策に乗じて4点を挙げ試合を決めた。投手陣も危なげなかった。藤沢清流は2安打に抑えられ1点を返すのが精いっぱいだった。
○立花学園・志賀監督 最後の練習試合に負けてから精神面を見直してきた。今日はそれが良い薬になったと思う。
○立花学園・主将浜田 強みとする打力を発揮できた。守備面では課題が出たので改善したい。
●藤沢清流・榎本監督 相手の打力は想像以上だった。秋から苦しい時期が続いたが、チームとしてよく頑張ってきた。
●藤沢清流・主将小柳 打撃のチームだと思っていたが、バッティング以外も相手の方が上だった。
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(2)新城-県相模原(5回コールド)
県相模原
051 14|11
000 00|0
新城
【評】県相模原が16安打11得点の猛打で大勝した。二回に白井のソロ本塁打、細野の走者一掃となる3点二塁打などで5点を先取。三回以降も得点を重ねた。上位から下位まで鋭いスイングが目を引いた。10人の新城は無失策、1併殺と守備が鍛えられていた。
○県相模原・佐相監督 攻撃陣は当たってきている。(4回戦の)東海大相模に照準を合わせてやってきた。
○県相模原・主将浜口(4打数3安打) 日ごろからヒットになりやすい打球の高さを意識して練習してきた。成果を出せてよかった。
●新城・大平監督 選手10人のチームワークで勝ち上がってくることができた。3年生も最後に力を出し切れた。
●新城・主将金子 相手の打撃がすごいからこそ、逆に思い切り勝負ができた。悔いはない。
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