横浜スタジアムで8日に開かれた第100回全国高校野球選手権神奈川大会の開幕式では、1968年から横浜の監督を務めて春夏5度の全国制覇に導き、2015年夏に勇退した渡辺元智さん(73)に日本高野連から育成功労賞が贈られた。
100回目の記念大会の育成功労賞に、横浜の渡辺元智前監督ほどふさわしい人はいないだろう。5度の全国優勝という実績は記すまでもなく、神奈川の高校野球そのものを育てた名将だ。
新たに加わった勲章に「神奈川でもまれて、育ててもらった。ただ、選手いればこその名誉。感謝、感謝です」。同じ舞台で、大会運営で功績のあった「功労者表彰」を受賞した名塚徹・前高野連専務理事も教え子の一人だ。「師弟関係でこの記念すべき年に受賞できて感無量」と加えた。
横浜の現役選手として臨んだ、平和球場での開会式を今も覚えている。「当時は法政二の全盛期。大会前には甲子園夏春連覇した法政二とオール神奈川の凱旋(がいせん)試合があったりね」。それからほぼ半世紀にわたって、自分がドラマの中心になるなんて思いもしなかった。
「やっぱりここに来ると、また(監督を)やりたいなと思ってしまう。だからなるべく来ないようにしてきた。いろんな思いが巡りますが、あと5、6回は甲子園に行けたかなと思う」。勝負師の血をたぎらせた。