
100回目の記念の夏を待ちわびているのはグラウンドに立つ選手だけではない。平成最後となる神奈川大会は応援でサポートする仲間も並々ならぬ思いで挑む。186校、それぞれの夏が迫る-。
南神奈川から9年ぶりの頂点を狙う横浜隼人。開幕を目前にした5日、野球部に加え、吹奏楽部とソングリーディング部が本番さながらの練習で動きや流れを確認し、額に汗を流していた。
夏のメンバー入りがかなわず、4日の引退試合で最後の打席に立った野球部の横田雄貴(3年)が応援団長を務める。「選手としてもちろん貢献したかったけど、何か役に立ちたくて。応援でチームが勝たせてもらったと言ってもらいたい」。誰一人辞めなかった3年生48人の熱き団結心を大声に乗せて戦う。
ソングリーディング部の3年生は受験準備などのために4月で部活動を引退したが、夏の大会だけは任意で参加が認められる。部長の大和田未萌(3年)は「これまで学んできた諦めない気持ちの大切さを出して、野球部に勝ってもらいたい」。高坂梨音(3年)も「野球応援から愛校心も芽生えた。野球を通じて、隼人の素晴らしさを伝えたい」と笑顔を見せ、15日の初戦には3年生15人のうち14人がスタンドに立つ予定だ。
今夏のコンクールで全国を目指す吹奏楽部の目標は、野球部と何ら変わりはない。バストロンボーンを演奏する部長の根本彩花(3年)は「毎日頑張ってきた姿は自分たちにとっても支えだし、野球部さんが勝つことでエネルギーや元気をもらえる」と言う。強弱を付けた重厚な演奏で応援席の心を一つにし、戦う仲間たちを後押しする。
「スタンドからチームを勝たせたい」。そんな純粋なエールを送る186校の誰もが主役の一人となる大会がいよいよ始まる。