

100回目の夏の栄冠をつかみ取るのはだれか-。第100回全国高校野球選手権神奈川大会の開幕まで1週間を切った。南北に分かれ、2校に与えられる甲子園切符を争う激戦が迫る。本紙連載「K100 神奈川高校野球」で紹介してきた偉大な先人たちが紡いできた伝統を受け継ぎ、最後の夏を迎える2000年度生まれの「ミレニアム世代」9人の思いに迫る。
どんな窮地にも、動じない。大舞台をショーのように楽しんでみせる。類いまれな強心臓は、名門のエースナンバーを受け継ぐ者にふさわしい。
「横浜高校の背番号1の重みは、ひしひしと感じている。そのプレッシャーを力に変え、とにかく圧倒して勝ちたい」
あどけない表情とは裏腹に、横浜のエース板川佳矢は、最後の夏への思いを力強く言い放つ。
名だたるスーパースターたちが背負ってきた番号は、日本全国の野球少年たちの憧れだが、栃木・野木中の軟式野球部でプレーしていた少年にとっては、全く違った。
「野球で県外の高校に行けば、周りからちやほやされる。自分に箔(はく)を付けたかった」。そんな単純な理由で横浜への入学を決めた。
プロ野球や高校野球にはまるで興味がなかった。1980年に日本一となった同じ左腕の愛甲猛(元ロッテ)、98年に甲子園春夏連覇を果たした松坂大輔(中日)ら、レジェンド級の大先輩の存在すら知らなかった。
入学する前年の2015年に渡辺元智前監督が勇退。横浜の「1」の意味を感じることなく、1年秋にエースとなった。