
去年の秋から念願の監督になった。ボーナスでピッチングマシンを買った。67万円もはたいたのは、アーム式の方が投手の振りかぶりに近いからだ。周囲に「狂っているよ」と笑われた。厚木東の小林航監督(32)はこれを最高の「褒め言葉」だと捉えた。
東大野球部の捕手として、東京六大学リーグでプレーした。野球の名門校を出てプロを目指すような選手たちを相手に、圧倒的な戦力差を逆転するための戦いと書けばかっこいいが、平たく言えば負け続ける日々を過ごした。
「中学の頃から東大で野球をしたかったので夢がかなった形ですが、現実にはもがき苦しんだ4年間でした」。だからこそ夢がある。「監督として究極の目標は、東大野球部を優勝させること」
平塚江南出身。最後の夏は2回戦で大敗した。燃え尽きられなかった。その分、大学で思い切り野球をやって、青春した。就職も引く手あまたの東大生。「教職はもったいない」と言われたが、「自分のなりたかったものになっただけです」。ただ初任校では野球指導の機会に恵まれなかった。