高校野球の春季県大会(県高野連主催、神奈川新聞社など後援)最終日は29日、横浜市中区の横浜スタジアムで桐光学園-横浜の決勝が行われ、横浜が桐光学園を8-1で破り、2年ぶり13度目の優勝を飾った。
両校と選抜大会4強の東海大相模は5月19日から5日間、千葉県で開催される春季関東大会に出場する。
名門の誇り取り戻す 守り勝つ野球体現
「とにかく結果に、勝ちにこだわった。今のベストメンバーでいきました」。過去2年の春決勝では入学直後の1年生を多数起用して経験を積ませた横浜・平田徹監督(34)が、真っ向勝負で春の頂点に立った。
スタメン野手は準決勝と全く同じ。マウンドにはエース板川を送り込んだ。初回。2番山崎が右翼席へソロアーチを架け、3-1の七回には3番の主将齊藤の2点打などで3得点。11安打8得点で大勝した。
「うちは秋に負けたチーム」。指揮官が何度も口にしてきた言葉だ。準決勝で下した鎌倉学園に、昨秋15失点でコールド負けを喫したことが原点にある。就任以来、個の力を重視したパワー野球に傾倒気味だった平田監督だが、「点を取られなければ永遠に負けることはない」と打力以上に、守備にこだわる野球を築き上げてきた。
その証明が3-0の五回1死二、三塁。内野陣は自主的に前進守備を敷いた。「1点もやるわけにはいかない」と三塁山崎が身を乗り出して速いゴロを捕り、三走を本塁で刺して得点を許さず、この回を無失点で切り抜けた。
持ち前の攻撃力も圧倒的で、今春は9試合で119得点。だが、総失点がわずか2点と守り勝つ野球を体現できたことこそが「大きな収穫」と平田監督はうなずく。
屈辱にまみれた冬は、ほぼ毎日選手だけでミーティングを1時間以上行い、議論を通じてチームの結束も高まった。「自分たちがトップでなければいけない強い気持ちでここまでやってきた」と齊藤。名門の誇りを、取り戻した春だった。