「守り勝つ」実践
秋のリベンジに燃える横浜を、誰も止めることができない。
1-0の二回だ。河原木、長南の連打で1点を追加すると、なおも無死一塁で7番角田が2戦連発の2ラン。再び角田が2点打を放つなど打者14人が9長短打を集め、9得点のビッグイニングをつくって大勝した。
昨秋の準々決勝で逆転コールド負けした鎌倉学園との因縁の再戦。だからこそ、「普通にプレーできるかがテーマだった。結果的に今大会で一番いいゲームができたことは大きな収穫」と平田徹監督(34)。意識せざるを得ない相手を前に、全力を出し切れたことこそが成長の証しだ。
あの敗戦から、チームは「1-0で守り勝つ野球」を掲げて再起を図ってきた。それだけに、6試合を2桁得点で勝ち上がってきた強打の相手打線を無得点に封じたことに、主将齊藤は「1失点と無失点では全く違う。打てたことよりも、守り勝てたことの方に価値がある」と語る。今春8試合でわずか1失点だ。
この日は不振のスラッガー万波がスタメン落ちし、準々決勝の4番から7番に降格した角田が2安打4打点。さらに津田、大手の両1年生を守備で出場させ、指揮官は「いろんな経験をさせている。夏に向けて激しく競争してほしい」とレギュラー争いは激化する。
「試合だけでなく、チーム内の競争を通じてもっと成長していければ」とキャプテン。生まれ変わった名門は進化を止めない。
黒須が散発2安打
横浜の2年生右腕黒須が散発2安打無失点で5回零封。188センチの長身が右横手からスライダーやチェンジアップをテンポ良く投じ、「内外を効果的に突いて打たせて取ることができた」と喜んだ。
鎌倉学園にコールド負けした昨秋の準々決勝では2番手で登板。2回2失点でマウンドを降りていただけに、背番号10は「これからも勝利に貢献し、横浜高校は強いんだというところを見せていきたい」と誓った。
「勝負、環境に負けた」鎌学
「舞台に慣れるまで1時間かかってしまいました」。鎌倉学園の竹内智一監督(36)は、大敗をそう分析した。慣れた時にはすでに、点差が2桁に離れていた。
二回が全てだった。ファンブル、送球エラー、落球とミス続出の悪い流れに9安打で畳み掛けられ、打者14人で9点を奪われた。「まず横浜に1対1の勝負で負けた。さらに神奈川の準決勝、横浜スタジアムという環境にも負けた」と指揮官。土俵に上がれなかった。
先発にはエース小島ではなく、大型右腕の大浦を立てた。重い直球が武器の背番号10で横浜の重量打線を抑えにかかったが、1回2/3で9安打と力負けした。
打ってもわずか2安打。2三振の3番新倉は「(コールド勝ちした)秋は横浜打線が大振りで打ち上げてくれたけど、今日は低めも見極められ、低いゴロでつなげられた」と負けを認める。
大浦は「秋春とここまできたけど、結局は4強止まり。このままではだめということ」。例年以上に戦力がそろうからこそ、壁を打破する夏に期待したい。