1990年の横浜商(Y校)の優勝を最後に私学が制覇し続けている神奈川大会にあって、決勝まで勝ち進んだ公立が99年の桜丘と2004年の神奈川工だ。両校は、いかに厚い壁を突破したのか。(敬称略)
1999年夏に神奈川の決勝に進んだ横浜市立桜丘が見せたのは、究極の「公立野球」だった。
桐光学園との準決勝。送りも送ったり、計8犠打。機を見てエンドランや重盗、セーフティースクイズを仕掛け、二、三回に2点ずつを奪い4点を先取した。
エース長田真太郎(36)は9安打を許しながらも低めに集め続け、四死球はわずか1。バックは失策こそ二つあったが、それ以上に要所で奪った2併殺が効き、流れを渡さなかった。
攻めては堅実に走者を進め、ここぞで思い切り、あとは守り勝つ-。スーパーエースもスラッガーもいないからこそ先鋭化できた、「桜野球」の真骨頂だった。