
(左)高校最後の夏は神奈川大会5回戦で桐蔭学園に敗れてベスト16。青柳は14安打7失点しながら、9回を1人で投げ抜いた=2011年7月24日、保土ケ谷球場

(左)高校最後の夏は神奈川大会5回戦で桐蔭学園に敗れてベスト16。青柳は14安打7失点しながら、9回を1人で投げ抜いた=2011年7月24日、保土ケ谷球場
神奈川の公立校が生んだ両右腕が、プロ野球界で光り輝いている。ともに川崎工科(2009年度までは県川崎工)で高校時代を過ごしたロッテ・内竜也(32)と阪神・青柳晃洋(24)。決して恵まれた練習環境ではなかったが、あの3年間があったからこそ今があると、2人は胸を張る。 (敬称略)
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県川崎工出身の内竜也はロッテの守護神として、プロ15年目を迎えた。
度重なる故障に泣かされ、毎年のように手術を受けてきたが、ようやく昨季はけが無くシーズンを戦い抜いた。チームの投手陣では年齢が上から2番目のベテランとなったが、飾らない人柄は「公立の星」と騒がれた高校時代と変わらない。
そんな右腕が、プロ6年目に開花するきっかけとなったゲームがある。2009年7月2日の西武戦(西武ドーム)だ。
9-8の延長十二回1死満塁。6番手で登板した内は、栗山巧、中島裕之という強打者を空振り三振、遊ゴロに仕留めた。当時のパ・リーグ最長試合(5時間42分)の死闘に終止符を打ち、プロ初セーブを手にした。
当時、終電もなくなり、見守るマリーンズファンが少ない中、初のヒーローインタビューを受けた23歳は「悔いのない一球を投げ込んでいきました」と語っていた。9年前の言葉を意味を今、「勝負球は縦のスライダーでした。ピンチの場面で自分が一番信じないといけない球で勝負できたのは、高校時代の悔しい経験があったからでした」と話す。