慶応にとって9年ぶりの甲子園。スタンドから行進を見つめる七條副部長のスマートフォンに、メッセージが届いた。
「プラカードの文字、間違っていませんか?」 よく見ると、確かに慶応の「応」の字がおかしい。たれの中の「心」の左側の点がないのだ。
前日のリハーサルの写真を確認すると、やはり間違っている。リハは雨の影響で主将とプラカードを持つ生徒の参加のみだっただけに、赤松衝樹部長は「選手全員が参加していたら誰かしら気付けたでしょうが…」。
野球になぞらえると「点が足りない」のは少し縁起が悪いが、「それも『点が取れる』というふうに考えましょう」と七條副部長。誰かのミスをあげつらうのではなく、「ドンマイ」と笑って、自分の力で取り返す。これも慶応の強さだ。