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現役ヒーロー編 37/100
心にしこり残る憤死 桐蔭学園 鈴木大地

高校野球 | 神奈川新聞 | 2018年2月9日(金) 02:00


走攻守の三拍子そろった桐蔭学園のリーダーだったが、高校時代に注目されることは少なかった
走攻守の三拍子そろった桐蔭学園のリーダーだったが、高校時代に注目されることは少なかった

 「アクシデントが起こらない限り、レギュラーで起用し続けたいと考えている」

 米大リーグでプレーした日本人として初めて監督に就任し、今季からロッテを率いる井口資仁から、最上級の信頼を寄せられている鈴木大地(28)。主将を4年間務め、熱狂的なマリーンズファンから絶大な支持を受けるリーダーだ。

 2005年にはワールドシリーズ制覇も経験している新指揮官は、一昨年まで4シーズン遊撃を守り、昨季は二塁でフル出場してゴールデングラブ賞を初受賞した鈴木を、今季は三塁にコンバートする方針という。

 打率3割を超えたことはないが、過去5シーズンで欠場は1試合のみ。「自分は特に秀でた才能はないけど、どのポジションでも任されたら臨機応変にこなす自信はあります」

 桐蔭学園時代もそうだった。3年間で二塁、三塁、遊撃を守った。当時監督だった土屋恵三郎(現星槎国際湘南監督)は「とにかく努力家で本当に真面目な子。肩も足も普通なのに、何か持っているものがあった」と1年からベンチ入りさせて、重宝してきた。

 だが、そんな鈴木の高校時代も、順風ばかりが吹いていたわけではない。「心にしこりが残っている」と、今も脳裏に焼き付き、忘れられないシーンがあるという。


高校2年夏、横浜との準決勝。1回裏に中前打を放ったが…
高校2年夏、横浜との準決勝。1回裏に中前打を放ったが…

 高校2年の夏。06年7月28日の神奈川大会準決勝。春のセンバツを制していた横浜に対して、エース加賀美希昇(元横浜DeNA、現JR西日本)を擁する桐蔭がどう挑むのかが注目されたゲームだった。

 「下馬評は横浜で、桐蔭は押せ押せの雰囲気で行くしかなかった」。リードオフマンの鈴木は、自分の役割を分かっていた。0-0の初回裏、先頭打者として打球を中前に運ぶと、犠打で進塁して1死二塁とチャンスメーク。しかし、前のめりの気持ちは、相手バッテリーに見透かされ、けん制死。天を仰ぐように、唇をかむしかなかった。


遊撃で華麗な守備を披露
遊撃で華麗な守備を披露

 以後は2打席無安打で途中交代し、試合も敗れた。「リズムを生まなきゃいけなかったのに、とんでもないことをしてしまった。とにかく先輩に申し訳なかった」

 テレビ中継を録画したビデオは静岡の実家にあるが、「今でも見られないですね。でも、思い出したくもないのに鮮明に出てくる」。腕を組み、遠くを見ながらこぼす言葉に複雑な思いがにじむ。


高校2年夏、横浜との神奈川大会準決勝。1回裏の先頭打者で出塁するも、1死二塁でけん制死した鈴木(右)=2006年7月28日、横浜スタジアム
高校2年夏、横浜との神奈川大会準決勝。1回裏の先頭打者で出塁するも、1死二塁でけん制死した鈴木(右)=2006年7月28日、横浜スタジアム
 
 

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