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現役ヒーロー編 32/100
高校野球で終わりじゃない 横浜高校 筒香嘉智(下)

高校野球 | 神奈川新聞 | 2018年2月2日(金) 02:00

高校2年夏の全国選手権大会。聖光学院(福島)との準々決勝で2本塁打をマーク。1試合個人最多タイの8打点を荒稼ぎし、記録は今なお破られていない =2008年8月16日、甲子園
高校2年夏の全国選手権大会。聖光学院(福島)との準々決勝で2本塁打をマーク。1試合個人最多タイの8打点を荒稼ぎし、記録は今なお破られていない =2008年8月16日、甲子園

 「甲子園に出ても駄目になっていったやつはいっぱいいるよ。人として、社会で通用する人間にならないといけないぞ」。高校時代の恩師、渡辺元智から繰り返し聞かされた金言は、今でも筒香嘉智の胸に刻まれている。


2007年。高校1年秋の県大会4回戦、桐光学園戦で3回に先制3ランを放ち、本紙紙面で写真として初登場した
2007年。高校1年秋の県大会4回戦、桐光学園戦で3回に先制3ランを放ち、本紙紙面で写真として初登場した

 ベイスターズ、そして日本の主砲、球界のトップスターとなった男が今、熱心に取り組むのが、アマチュア野球界の改革に向けた提言だ。

 高校野球の魅力は何ですか-。連載「K100」を通じて取材対象全員に尋ねている共通質問に、筒香は「ないですね」と即答した。

 「高校野球のシステムを変えないと日本の野球界はよくならない。マスコミが主催することもそうですし、野球界だけですからね。こんなにぐちゃぐちゃしているのは」


2009年。3年夏の神奈川大会前。熱のこもった練習でバットの先まで感覚を研ぎ澄ます
2009年。3年夏の神奈川大会前。熱のこもった練習でバットの先まで感覚を研ぎ澄ます

 筒香が「ぐちゃぐちゃ」と指摘するのは、いまだに残るプロとアマの垣根に象徴される日本球界のシステムそのものだ。

少年野球を変える



 昨年、中学時代に所属した堺ビッグボーイズ(大阪)の小学生チームでスーパーバイザーに就任した。野球を始める子どもが減っている現状に触れ、「このままだとまずい」と未来に危機感を抱いてきた。


2009年。高校3年秋のドラフト会議前日。リラックスした表情を見せる
2009年。高校3年秋のドラフト会議前日。リラックスした表情を見せる

 きっかけは、2015年オフに参加したドミニカ共和国のウインターリーグだった。同国で接したベースボールに衝撃を受けた。何より、指導者が子どもたちに積極的に失敗させ、選手の才能を花開かせていることに心を動かされた。翻って我が国はどうだろうか。

 「じゃあ(高校野球で)勝って満足しているのは誰か。監督が一番喜んで、勝つためだけに練習メニューを組んでいる。ただの大人の自己満足に見える」

 甲子園を神格化し、その頂点に立つことを絶対視する勝利至上主義。その対極にあるのが、答えを与えすぎず、子どもに能動的に考えさせる指導法ではないか-。


2009年。ドラフト会議でベイスターズに1位指名を受け、チームメートに胴上げされる
2009年。ドラフト会議でベイスターズに1位指名を受け、チームメートに胴上げされる

 トーナメントが主流のアマ野球界にリーグ戦を導入して試合数を増やし、選手の出場機会を確保できないか。球数制限を導入し、未来ある子どもをけがから守れないか。飛び過ぎる金属バットを使用禁止に…。

 全ては野球人口の減少を食い止めるため、子どもたちの可能性を花開かせるための提言だ。「将来のプロ野球選手、メジャーリーガーを出すために練習をしているかというと、日本はだいぶ遅れていると感じる。これではスーパースターがなかなか出てこない」

 筒香はこうした動きが、プロ野球界全体に広がることを望んでいる。「現役選手が動くのが一番。そこに大きく変われるチャンスがある。ただ、危機感が広がっている感じはまだあまりないですね」


2009年。新入団選手発表会見で加地社長(前列左から2人目)、尾花監督(同3人目)らと記念撮影に納まる筒香(同4人目)
2009年。新入団選手発表会見で加地社長(前列左から2人目)、尾花監督(同3人目)らと記念撮影に納まる筒香(同4人目)

 球界のトップスターという立場で、改革案をぶち上げるのはリスクを覚悟の上だ。

 「人間は前例のないことを嫌う。僕も初めてドミニカのウインターリーグに行った時、いろんな人に反対された」。刺激を求めて異国へと飛び込んだ経験が、一歩を踏み出す勇気を与えてくれたという。

 「あれだけ反対される中で行ったけど、周りの声におびえる必要はない。本当に必要なこと、大切なことはどんどんチャレンジしたい。野球に育ててもらっているから。野球に恩返しがしたいんです」

「野球への恩返し」


 
 自らが恵まれた環境で成長できたことを感謝するスラッガーは、現役球児たちに、伝えたいことがあるという。

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