
第90回選抜高校野球大会(3月23日から13日間・甲子園)の出場36校を決める選考委員会が26日、大阪市の毎日新聞大阪本社で開かれ、神奈川から東海大相模(7年ぶり10度目)、慶応(9年ぶり9度目)の2校が選出された。

神奈川から選抜大会に出場するのは4年ぶり。2校が選ばれるのは、7年ぶり12度目。東海大相模と慶応が同時に選ばれるのは、2005年に続いて2度目。
東海は昨秋の県大会で慶応を破って優勝すると、続く関東大会でベスト4に進出。慶応も2年連続で挑んだ同大会で4強入りした。組み合わせ抽選会は3月16日に行われる。
東海は、エース齋藤礼二(2年)と主砲森下翔太(同)を軸に昨秋の県大会で優勝。県内開催の関東大会では齋藤をけがで欠きながら、圧倒的な打力で3季連続甲子園出場の作新学院(栃木)にコールド勝ちし、ベスト4に進出した。

09年春以来の甲子園出場を決めた慶応は、2年連続で出場した秋の関東大会を、大黒柱の左腕生井惇己(同)を中心とした投手力の高さで勝ち上がり、4強入り。2戦続けて1点差の競り合いを制した勝負強さも光った。
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県勢以外では史上3校目の春連覇に挑む大阪桐蔭や、昨秋の明治神宮大会で優勝した明徳義塾(高知)などが選ばれた。
戦力以外の要素を加味する21世紀枠は、由利工(秋田)膳所(滋賀)伊万里(佐賀)の3校が選出された。初出場は明秀学園日立(茨城)中央学院(千葉)など10校。滋賀からは21世紀枠の膳所を含め、近江と彦根東の3校が出場する。同一都道府県から3校が選ばれるのは、01年の第73回大会の茨城(常総学院、水戸商、藤代)以来。
東海7年ぶり10度目
早くも戦闘モード
写真撮影では喜びを爆発させた東海大相模ナインだったが、笑顔が見えたのはこの時だけだった。すぐさま表情を引き締めて戦闘モードでキャッチボールに取りかかった。切り替えの早さが、タテジマらしい。
「これから毎日の練習が甲子園の初戦であるかのような気持ちを、いかに持ち続けられるか」。一切喜びに浸ることなく、門馬敬治監督(48)は宣言した。

春夏合わせて20度目の甲子園となる強豪にありながら、このチームに聖地に足を踏み入れた選手はいない。それでも、主将小松は「甲子園を知らない分、恐れるものは何もない。自分たちのアグレッシブ・ベースボールを貫く」と鼻息は荒い。
頂点に立った2011年以来の選抜。当時1、2回戦でともに公式戦初先発ながら好投した庄司拓哉(日本通運)と長田竜斗(鷺宮製作所)が、昨年末に学校を訪れ、冬の鍛錬の重要性を説いたという。2人の言葉に「必死にやれば結果は実る」(小松)とナインは実感している。
県大会で失点ゼロながら、けがで関東大会の登板がなかったエース齋藤も「関東は自分が投げなかったせいで負けた。その悔しさを選抜でぶつけたい」とアピールした。
「ゼロからのスタート」と指揮官。大きな手応えの中で、紫紺の大優勝旗をつかみにいく。
森下、打倒王者意欲
東海大相模の主砲森下は「ずっと(出場は)決まると思っていたし、特に気持ちの変化はない」とキッパリ。本番へ向け前年覇者の大阪桐蔭を名指しし、「打倒大阪桐蔭。頭一つ抜けている。チームを勝たせられる1本を打ちたい」と闘志を燃やした。
高校通算44本塁打のスラッガーは、この冬すでに体重を3キロアップさせたという。門馬監督は「ゾーンに入ったときの強さは他の選手にないものがある。その力を本番でも持ってきてくれれば」と期待した。
全力で力を付ける
東海大相模・門馬敬治監督の話 昨夏の神奈川大会決勝で横浜に負けて流した涙を忘れずに続いてきたチーム。選抜大会出場という結果をいただいたからには、残りの期間、まだまだ全力で力を付けていく。
サガミの名に責任
東海大相模・小松勇輝主将の話 選抜大会に出場できるのは素直にうれしいが、サガミの名を背負っているので責任を感じる。もちろん優勝を狙っているので、さらに練習を積み重ねて甲子園で暴れたい。
慶応9年ぶり9度目
「エンジョイ」体現
9年ぶりの選抜切符獲得に、慶応ナインの笑みには初々しさすら漂う。森林貴彦監督(44)は「この8年間、どの代のチームも力はあったが、力を出し切れなかった。そういう先輩たちの悔しさが積み重なり、成就した」と喜びをかみ締めた。

薄氷を踏むような険しい道のりだった。県大会は3戦連続で2点差以内の試合を制し、