伊志田2-1橘学苑
1点を先行した直後、三回裏に2死満塁の窮地を迎えた。伊志田の右腕辻村は、「ギアを上げた」。
右打者の外角低めに、ぐいと直球をねじ込む。中飛で切り抜けたが、「三振を取れていれば、もっと流れを持ってこられたはず」と満足できなかった。
154球を投げた初戦に続き、121球を投げて完投。昨季、プロ野球ソフトバンクで1軍コーチを務めた水上善雄監督(61)率いる橘学苑打線に対し、小気味よく低めに集め打たせて取った。三振は一つだが、四死球も二つのみ。余計な出塁を許さず、暴投による1失点だけに抑えた。
どっしりした下半身を使って投げ込む最速140キロの本格派。重い直球と縦のスライダーを軸とする。
理想の投手は昨夏、金足農(秋田)を全国準優勝に導いた吉田輝星(現日本ハム)だ。試合前に「特にギアの使い分けを参考にしている」という同投手の映像を見てイメージトレーニングし、自らを鼓舞する。
次戦は第2シードの相洋だ。まだ使っていない変化球もある。「ここから先は、全部使わないと勝てないですね」。昨秋も16強入りしたエースが、「3段階ある」というギアをマックスまで上げていく時がきた。