瀬谷9-6橋本
この姿を、母に見てもらえたことが、何よりもうれしかった。
1-8の七回1死満塁。あとアウト二つでコールド負けが決まってしまう窮地で、橋本の主将高瀬が打席に立った。「今までの恩返しをしたい」。初球を思い切り振った。左翼線への2点二塁打。敗れはしたが、3点差まで迫った。
自宅で母・めぐみさん(49)が倒れたのはことしの春。家にいた高瀬は、慌てふためきながら救急車を呼んだ。脳出血で一命は取り留めたが、「お母さんを支えないと」と、野球をやめようと思った。
周囲の支えもあり「ここでやめたら恩返しできない」と気付いた。この日、めぐみさんは息子の勇姿を見届けようと、車いすで駆け付けてくれた。「うれしかった。野球をやめなくて、本当に良かった」