令和初の高校野球神奈川大会で育成功労賞を受け取った慶応の上田誠前監督は「選手たちの顔を見て、やっぱり高校野球はいいよなって思ったよ」と笑った。
指導者として慶応を春夏4度の甲子園に導いた手腕に加え、「エンジョイ・ベースボール」を掲げ、丸刈りをやめたり、選手に「上田さん」と呼ばせたりするなど、変革を求めた。「最初は『ちゃらちゃらしてんじゃねーよ』と言われることもあったが、神奈川は懐が深くて、だんだんと理解されていった」
57歳で後進に道を譲ってから4年。現在は、小中学生の野球振興やスポーツ障害の防止に力を注いでいる。「合同チームも増えているし、小中学生が増えないと野球人口はじり貧になる。過去を語らず、未来の野球を何とかしないといけない」。新たな勲章が、これからの野球人を育てる使命感をさらに強くさせた。