猛打で春の初連覇 「東海」対決を制す
高校野球の第71回春季関東大会最終日は23日、埼玉県営大宮公園野球場で決勝を行い、神奈川1位の東海大相模が東海大菅生(東京1位)を7―3で下し、22度目の出場で初優勝を飾った。神奈川勢の優勝は2004年の横浜以来15年ぶりだが、昨秋の関東大会は桐蔭学園が制しており、県勢は2季連続で関東王者に輝いた。
東海大相模は初回に鵜沼魁斗(2年)の先頭打者本塁打などで3点を先制すると、四回にも松本陵雅(同)のソロアーチが飛び出すなど、14安打で7得点と小刻みに加点した。投げては、3回1/3を無失点に抑えた4番手の紫藤大輝(3年)ら4投手の継投で逃げ切った。

【評】東海大相模が14安打7得点で打ち勝ち、春の関東王者に初めて輝いた。初回は鵜沼の先頭打者本塁打に続いて、遠藤の右前適時打、茂谷の中犠飛で一気に3点を先制。四回には松本がソロ本塁打、六回にも1死から4連打で畳み掛けて2点を追加した。
4投手の継投も決まった。六回途中から救援した紫藤は切れのある直球で、東海大菅生打線を2安打無失点に抑え込んだ。
本家タテジマの本領

5度目となる決勝に挑んだ東海大相模が、代名詞の攻めに徹する「アグレッシブ・ベースボール」で、初めて春の関東王者の称号をつかんだ。
東海大菅生が相手のタテジマ決戦。初回の初球で主導権を掌握した。先頭鵜沼が内角へのスライダーを迷いなく振り抜くと、打球は左翼席で弾んだ。さらに、敵失と四球で得た好機に遠藤が適時打、茂谷の犠飛で一気に3点を奪った。
鵜沼が「初球からガツガツいけと言われていた。チームに勢いを付けられた」と言葉に力を込めると、遠藤は「鵜沼の一発で流れがきて、勝ったと思えた」と後輩をたたえた。結局、今大会チーム最多タイとなる14安打の猛攻。5試合で57安打30得点を記録し、圧倒的な力を見せつけた。
東海大菅生の若林弘泰監督(53)も東海大相模のOBだ。門馬敬治監督(49)と同じく、東海大時代に故原貢監督から薫陶を受けた。
その「おやじ」から攻撃的な野球を継承する門馬監督は、前日のミーティングで「自分たちの野球をして必ず勝とう」と選手を鼓舞したという。鵜沼は「負けられない空気があった。絶対に負けたくなかった」と“本家”東海のプライドをぶつけた。
表彰式を待つベンチに、初優勝の余韻に浸るような空気はなかった。指揮官はすぐにこう訴えた。「春は終わった。夏に向かって、これからが勝負だぞ」
副主将の遠藤もうなずく。「夏につながる戦いができた。ここから優勝に向かえる」。全国制覇した2015年以来の夏の甲子園へ-。令和最初の夏をタテジマ色に染めていく。


5試合に投手総動員 競争を力に夏へ
決勝でも4投手を繰り出した東海大相模。最後を締めくくったのは、やはりエース紫藤だった。
7-3の六回。2死満塁から満を持してマウンドに上がった。一発が出れば振り出しに戻される窮地にも、強気だった。「1番をつけているからには、このピンチを抑えたい」。全球自慢のストレートで勝負して3球三振。最後は高めの138キロで空を切らせた。
投手総動員で初めて春の関東を制した。5試合で延べ11人投手を投入。日本一に輝いた2015年夏の小笠原慎之介(中日)のような絶対的な存在はいないからこそ束になった。3回1/3を2安打無失点の背番号1は「エースの座は譲れない」と競争を力にする。
大会の収穫を問われた門馬監督が真っ先に挙げたのがルーキー左腕石田だった。公式戦デビューの準々決勝で5回4安打1失点。この日は3回を自責点0で投げきり、「先輩たちがいるので、勢いで投げることができた」とはにかんだ。
「(まだ)出ていない投手もいる。これからのオープン戦を公式戦と同様の位置付けと意識し、メンバーが入れ替わるかどうか」と指揮官。今大会は右腕山村の登板がなく、昨春から経験を積む左腕諸隈もメンバー外だった。8人でしのぎを削り、どこよりも長い夏に備える。

