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神奈川高校野球 タテジマがくれたもの(3)
恐怖でしかなかった 挑んだ男たち(上)

高校野球 | 神奈川新聞 | 2019年3月16日(土) 19:44

4回表


夏の甲子園決勝。熱戦を終えて東海大相模の小笠原(1)と抱き合う仙台育英のエース佐藤世(中央)。最高のライバルと投げ合い、敗戦にも充実した表情をにじませる=2015年8月20日、甲子園
夏の甲子園決勝。熱戦を終えて東海大相模の小笠原(1)と抱き合う仙台育英のエース佐藤世(中央)。最高のライバルと投げ合い、敗戦にも充実した表情をにじませる=2015年8月20日、甲子園

 あの夏、甲子園でタテジマと戦った時のように、もう一度マウンドで光り輝くのだ、とその“ルーキー”は誓う。

 厚木市内の大学にある野球場。クラブチームのオープン戦で、ひときわがっちりとした体つきのピッチャーがベンチで声をからしていた。横浜球友クラブの佐藤世那(21)。昨シーズンまで、彼の職業はプロ野球選手だった。

 昨秋、甲子園準優勝投手として入団したオリックスから、プロ3年目で戦力外通告を受けた。「まさか」。2年目の終盤に一度だけ1軍に上がったが、登板なし。横手投げに転向して1年もたっていなかった。厳しい世界だと分かってはいたが、ここまでとは思っていなかった。


仙台育英 佐藤 世那 さとう・せな 仙台育英高-オリックス-横浜球友クラブ。投手。夏の甲子園決勝では小笠原とともに完投した。
仙台育英 佐藤 世那 さとう・せな 仙台育英高-オリックス-横浜球友クラブ。投手。夏の甲子園決勝では小笠原とともに完投した。

 「プロの3年間は何も楽しくなかった。自分の結果ばかり。ずっと悩み苦しんでた。でもクビになり、新しい環境に身を置かせてもらい、チームのために活躍したい気持ちが大きくなった。今はまるで、高校時代に戻ったような感覚なんです」

 2015年夏。「世那(せな)」は聖地で輝いていた。宮城・仙台育英のエースとして2季連続で挑んだ甲子園はたった一人で投げ抜いた。被災地の思いも背負い、東北勢として悲願の初優勝を目指した。

 ついに、たどり着いた決勝。立ちはだかったのが、小笠原慎之介(中日)と吉田凌(オリックス)がいる東海大相模だった。初回に2失点。三回には3番・杉崎成輝(東海大)から4連打でさらに2点を献上し「もう終わった」と思ったという。「恐怖でしかなかった。あれを遂行できる選手の能力が恐ろしい。全員が絶対的な自信を持っていた」というサガミの「アグレッシブ・ベースボール」を真正面から受け止めた。

 それでも、平沢大河(ロッテ)ら打線が大黒柱を援護し、六回には同点に追い付いた。サガミ側のアルプス席を除いて、甲子園全体が東北勢を勝たせたい思いで一つになっていた。

4回裏

 命運を分けたのは6-6の九回だった。ずっと投げ合ってきた小笠原に、高めに入ったフォークボールを捉えられた。甲子園で投じた664球目だった。

 「また同じ景色だ…」。1年前の夏も、宮城大会4回戦で延長戦の末、左バッターに決勝ソロを許していた。9番打者の小笠原よりも、次打者のことが頭にあったことは否めなかった。「それが、僕の弱さだった」

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