「最強の思い込み」を
横浜隼人 秋元健吾一塁手
迷いなく一振りで決める。「大事なのは第1打席。自分が3番にいる理由がそこにある」。横浜隼人の秋元健吾は、自らのバットで流れを作ることが仕事だと心得る。
魅力は通算27本塁打のパワーだけではない。「球種は絞らず来る球に対応する。でも三振はほとんどない」。粘り、好球を呼び込み、強振で外野の頭を抜く。県内屈指の強力打線の顔だ。
ピンチにはリリーフエースとして登板もする。「自分でも縦に曲がるか横に曲がるか分からない」という高速スライダーを武器に、終盤の緊張感も“大好物”だ。
チームは今春まで8季連続で8強止まり。安定して勝ち進む力と、越えられない壁。「4強との力関係を変えるのに必要なのは、思い込みだと思う」。一番練習し、一番耐え、最後に笑うのは、俺たちだ。最強の思い込みを、夏にぶちまける。
夏の誓い「笑者が勝者」
笑顔は隼人のトレードマーク。最後は笑った者が勝つという思いを込めています。どちらにしろ負けたら終わり。それなら笑って、楽しんで、思い切りはっちゃけたい。
あきもと・けんご 一塁手。3年。御成中(湘南ボーイズ)出身。174センチ、84キロ。左投げ左打ち。
エースの自覚芽生え
桐光学園 棒田雄大投手
名だたる先輩が背負ってきた番号の重みを、桐光学園・棒田雄大はひしひしと感じている。
昨秋から欠番だったエースナンバー。今春地区予選で一度は2年生右腕二ツ橋に渡ったが、県大会中に奪い取った。重圧は感じるが、自信を持って184センチからの角度のある直球で、押せるようになった気もする。
世田谷西シニア時代はエースで、松井裕樹(楽天)に憧れて門をたたいたが、1学年上のエース中川颯(立大)の陰で、野手としてプレーする時間が長かった。
その中川は大学入学早々、全日本大学選手権で優勝し時の人となった。優勝報告に訪れた偉大な右腕から「周りは気にするな。自分が試合を楽しめ」と激励され、奮い立った。
「最後の夏。熱い気持ちで向かっていく」。先輩たちに負けじと、今夏の背番号1は輝きを放つ。
夏の誓い「気持ちで抑えろ」
中川さん(立大)が大学選手権で優勝した後、帽子に書いていただいた言葉。夏は実力が拮抗(きっこう)する中で、最終的には強い気持ち、ぶれない心が大事だと思っています。
ぼうだ・ゆうだい 投手。3年。樽町中(世田谷西シニア)出身。184センチ、81キロ。右投げ左打ち。
記念の年に“三刀流”
桐蔭学園 柿崎颯馬投手
主将であり、桐蔭学園打線の中核を担ってきた3番打者にこの夏、与えられた背番号は1だった。柿崎颯馬は“三刀流”でこの夏に挑む。
公式戦の登板経験も少ないが、今春県大会4回戦で横浜に敗れた後、大川和正監督(55)が「背番号1の重圧に耐えられるのは、柿崎しかいない」と決断した。
昨夏は持ち前の勝負強さで満塁本塁打を含む9打点。3年ぶりのベスト4に貢献した強打者は「打者心理はよく分かる。自分を見て、みんなも奮起してほしい」と大きな責任感を背負う。
かつて横浜スタジアムで観戦した夏の準決勝。同じ左打者の桐蔭学園・茂木栄五郎(楽天)の活躍に「この学校で野球がしたい」と決意してから6年。野球部50期生の主将でエースで3番打者として「メモリアルな代で18年ぶりの夏の甲子園に導く」と再び決意を示す。
夏の誓い「ただ打つだけ
昨春から主軸を任されるようになり、打席で緊張する場面も増えました。どうしようかと考えてしまった時、「いや、ただ打つだけだろ」と自分に語り掛けています。
かきざき・そうま 投手。3年。土沢中(横浜緑シニア)出身。179センチ、78キロ。右投げ左打ち。