

第99回全国高校野球選手権神奈川大会の組み合わせ抽選会が10日、横浜市西区の県立青少年センターで開かれ、開幕試合は高浜-南、選手宣誓は麻布大付の藤崎大地主将(3年)が務めることが決まった。
抽選は春季県大会で優勝した東海大相模を筆頭に、シード16校から順に全189校の主将やマネジャーらがくじを引いた。
大会は7月8日に横浜スタジアムで開幕、同日正午からの開会式に続いて開幕試合を行う。同9日から残りの1回戦が始まり、同29日に同スタジアムで実施される決勝(試合開始午前11時)まで県内11球場を舞台に全188試合で熱戦を繰り広げる。
優勝校が8月7日から15日間、兵庫県西宮市の甲子園球場で行われる全国選手権大会に神奈川代表として出場する。
出場全189校の紹介記事を15日の紙面から順次掲載します。
これ以上の舞台ない 9人で楽しくプレー
開幕カード高浜VS南
激戦区・神奈川のオープニングゲームを戦う高浜の主将、都外川(ととがわ)純平は「緊張は大きいが、恵まれているなと思った」。南の主将、祝(ほおり)透吾も「内心びっくりしたが、よく考えるとこれ以上の舞台はない」と驚きと喜びを口にした。
高浜は3年ぶりの単独出場。4月以降、1年生6人と3年生2人を迎え入れ、選手9人を確保した。2年生の都外川は「冬場に一人でトレーニングを続けるのはつらかったが、今は新入生とプレーできて楽しい」と充実感を漂わせる。
伝統校の南は中高一貫となって6年目。初めて全学年に付属中出身者がそろったが、野球部は選手17人の小所帯。祝は「プロ球団の本拠地で戦えるのは貴重な経験。勝利を目指す中で、一球一球真剣に取り組みたい」と、大舞台でのプレーを思い描いた。
麻布大付・藤崎主将 感謝の気持ち伝える
選手宣誓

選手宣誓を引き当てたのは麻布大付の主将藤崎大地だ。「人生で一番良い『当たり』を引きました」と喜んだ。
ひのき舞台に、感謝の思いを込める。「周りに支えられてここまで来た。それを自分の言葉で伝えたい」。父は小さいころからずっと練習に付き合ってくれた。心が折れそうなときも監督やコーチが励ましてくれた。きっと誰もが、そんな思いを持っているはずだと。
入部した時、3年生が一人もいなかった。「自分でどうにか変えていきたいと誰より早くグラウンドに来ていた」。努力とリーダーシップを買われ、自然と主将を任された。それでも入部以来、夏は1勝もしたことがない。
大会第6日にアレセイアと対戦する。「宣誓ではひと言ひと言に気持ちを込めたい。あとはまず初戦を勝つこと」。大役を果たし、初めての校歌を歌いたい。
熱い夏に闘志第1シード校
第1シードで挑む強豪4校の選手たちは、夏の頂点だけに照準を合わせている。
189校の先陣を切ってくじを引いた春の王者・東海大相模の3年大村は「いいところが引けた」とほっと一息。名前の鉄兵にちなみ「鉄のようにどんな相手が来てもはねのける」と門馬敬治監督(47)からの指名だったという。「何としても勝ち、甲子園で日本一になる」と気合十分だ。

東海大相模と春の県大会決勝で激戦を演じ、13-14で惜敗した横浜は3年井上が臨んだ。互いに勝ち進めば再び決勝でぶつかるライバルに「神奈川の高校野球と言えば横浜と(東海大)相模。決勝で絶対に勝ちたい」と闘志をみなぎらせた。
「いよいよ夏が始まるんだな」とは、桐光学園の3年小林一。同じゾーンに、慶応や桐蔭学園などの有力校が入ってきたが、「このくらい乗り越えなければ甲子園には行けない」と眼光は鋭い。
初の第1シードで挑む星槎国際湘南は主将金子が抽選に駆け付け、「どんな相手だろうと全力で挑戦するだけ」と強調。プロ注目のエース本田が鍵だが「(本田の)調子はいい。一戦一戦を勝って頂点に立つ」と熱い夏をにらんだ。
大和南、公立ナンバーワン目指す
創部38年目で初めてシード校として神奈川大会に挑む大和南は、星槎国際湘南などと同ゾーンに入った。抽選の序盤、強豪私学の主将らと肩を並べた主将近藤は「どこも自分たちより力は上。風格が違うというか、差を感じました」と緊張気味だ。
今春は県大会2回戦で九回に3点差をはね返してサヨナラ勝ちで勢いに乗り、初の16強入り。第3シードの夏に向け、「目標は公立ナンバーワン。シード同士の対戦までは負けられない」とプライドものぞかせた。
大会展望
4ゾーンとも第1シードを中心にシード校が有力だ。春の県大会を制した東海大相模と昨夏の覇者・横浜を軸に激戦が予想される。
■横浜ゾーン
前年王者の横浜リード
前年王者の横浜が大きくリードする。関東大会を含む今春11試合で102得点の打線を、春季関東大会1回戦まで公式戦23試合連続安打を放った4番増田がけん引。齊藤、万波の両2年生が中軸を固める。春の県内公式戦で防御率0.96の2年生エース板川に加え、3年塩原も復調し、投手陣は安定している。
第2シードの平塚学園も投打に充実。主戦の右腕柿木を中心に、中島航、原田の両左腕らの継投策で臨む。主砲増田を軸とした打線も力強い。
左腕西澤を擁する藤沢翔陵、右腕富田が成長した平塚江南、攻守のバランスがいい相洋のほか、弥栄、武相、横浜商、川和も上位をうかがう。
■桐光学園ゾーン
有力校集まり激戦必至
有力校が集まる最激区。桐光学園、慶応、桐蔭学園を中心に激しい争いとなりそうだ。
桐光学園は渡部遼、逢阪、桂川の経験豊富な上位打線の得点力が高い。課題の投手陣はエース棒田に加え1年生左腕冨田、2年生右腕二ツ橋らが力を伸ばしている。
昨秋の王者・慶応は高校通算本塁打が40発を超える正木が軸。昨秋優勝の原動力となった大黒柱の右腕森田がどこまで調子を上げてくるか。
桐蔭学園は柿崎、南木ら打線に爆発力がある。投手陣が奮起すれば、昨夏の4強以上を狙える陣容だ。三浦学苑は主戦石井が好調。県相模原、戸塚、桜丘、大師、菅など公立勢も実力派ぞろい。
■星槎国際湘南ゾーン
本田を擁する星槎が軸
創部7年目で初の第1シードを獲得した星槎国際湘南が注目される。ドラフト候補にも挙げられる右腕本田は今春5完投。最速146キロ、縦横のスライダーを織り交ぜて59回64奪三振。昨夏活躍した4番松下ら打線にも破壊力がある。
横浜創学館は昨夏もエースを担った左腕川井に安定感があり、佐藤未、佐藤優の中軸は長打力と勝負強さが光る。第2シードの橘学苑は森屋、松本の両右腕と左腕高波の3本柱で流れをつかみたい。
初のシード権を得た大和南は主戦三羽を中心に守備力が高い。日大、鎌倉学園は地力がある。相模原青陵・神奈川総産は今夏唯一の合同チーム。
■東海大相模ゾーン
戦力充実の県王者東海
春季関東大会で準優勝の県王者・東海大相模が抜けている。今春公式戦13試合で118得点。高打率の1、2番小松、山田拓をはじめ、4番森下、5番門馬ら打線は切れ目がない。投手陣はエース安里に加え、関東大会を経て力をつけた秋田、大和田、齋藤と充実している。
横浜隼人は秋元、白井、相澤の中軸がけん引する打線が強力だ。春の県大会で横浜隼人と延長戦の末に10-11で敗れた向上は、主将の捕手永田が大所帯のチームを攻守でもり立てる。
2年生エース新村を擁する日大藤沢、昨秋4強の横浜商大も健在。伝統の法政二、投手がそろう湘南学院も上位を狙う。
