旅立ちのときを迎えた。1年前、高校野球の選抜大会を制した東海大相模ナインも新たな道に進む。胸に残る春の歓喜はしかし、切ない余韻を残す。夏は新型コロナウイルスの感染拡大で出場辞退を余儀なくされ、恩師との別れは唐突に訪れた。ゲームセットなき敗退を経て、大学野球に新天地を求めた5人がつづるそれぞれの結末と、未来─。
面目躍如の一打だった。選抜大会準決勝の天理(奈良)戦。柴田疾が初回に放った先制タイムリーは、名門・東海大相模の主砲を担う意地が込められていた。
1、2回戦で計4得点。代名詞のアグレッシブ・ベースボールはどこか歯車がかみ合わなかった。柴田は初戦で1打点を挙げるも2回戦では2度の好機に凡退。「練習からいい打球が飛ばせず、イライラがたまって荒っぽい練習をしていた」。募る焦燥感は、言動に表れていた。
見かねた監督から雷
東海ナイン旅立ちの春(2)三塁手 柴田疾
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春の優勝を自信に、大学でも不動の4番を目指す [写真番号:1070944]
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準決勝の天理戦で柴田が放った先制タイムリーは面目躍如の一打だった=昨年3月31日、甲子園 [写真番号:1070945]