プロ野球のキャンプが1日、宮崎、沖縄の両県などでスタートし、横浜DeNAベイスターズは沖縄県宜野湾市で19年ぶりのリーグ制覇に向けた第一歩を踏み出した。3月に行われる国・地域別対抗戦、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表にも選ばれている筒香嘉智外野手(25)も、はつらつと打撃練習などに取り組んだ。
「全選手がアピールを」 満足げなラミレス監督
就任2年目のラミレス監督は満足げな表情を浮かべながら春季キャンプの初日を振り返った。
-初日を終えた。
「とても充実した1日だった。特に若手の投手は意欲的だったね」
-ブルペンでじっくり投手陣を見詰めていた。印象に残った選手は。
「今永は制球が良かったし、飯塚も今まで見た中でベストの投球。中でも、一番良かったのは山崎康。ストライクを多くそろえ、変化球の制球も素晴らしかった。初日に何をすべきかわかっている。彼の姿勢は周囲にもいい影響を与えるはず」
-新人5選手も1軍でスタートを切った。
「新人投手には50~60球のプログラムを与えた。浜口は直球、チェンジアップの出来がグレートだった」
-主将の筒香はWBCも控えている。キャンプでの方針を話し合った。
「WBCは非常に素晴らしい大会。ベストな状態で臨んで、ぜひ活躍してもらいたい」
-2日目以降、選手に求めるものは。
「特別なものはない。今後もこれまで通り、全選手にアピールを続けてほしいね」
筒香嘉智 「優勝させる4番に」
「ラスト3球、インコースでお願いします」
キャンプ初日のフリー打撃。打撃投手にそう告げるとスイングの速度を一段階上げた。最後の1球は右翼スタンド後方のネットへ。筒香は強烈な一発にも事もなげにバットを置いた。
「キャンプで無駄にできる時間はない」。ラミレス監督の言葉を誰よりも心得ている。74スイングで柵越えは2本だが、およそ8割が余計な力を抜いたスイングから繰り出されるレフト方向への打球だった。
「どんな状況でも左翼方向に打てる技術があれば試合で役に立つから」「練習で気持ちよく打つことは誰でもできる。練習は試合で打つためにある」。練習の意図を説き、昨季から逆方向への意識を強くしている25歳には風格が漂う。
もちろん、照準は1カ月後に迫るWBCにも合わせられている。ラミレス監督と話し合い、日本代表合宿(23日から3日間・宮崎)の集合日である22日までに、実戦5試合で15~20打席ほど立つプランを定めた。
15日の韓国プロ野球リーグのハンファ戦を皮切りに、指名打者での出場だけでなく左翼の守備にも就くという。WBCを見据えた指揮官の後押しに、筒香は「全選手が世界一を目指している。そこに向かって戦う」と結果で応えるつもりだ。
昨季本塁打と打点の2冠に輝いたスラッガーにはやはり「今シーズンの個人の目標は」との質問が向けられるが、答えは変わらない。「プロとして個人成績に責任を持たなくちゃいけない。でも、あくまでチームの勝利に貢献するだけ。チームを勝たせる4番、優勝させる4番になりたい」。練習に取り組む姿勢、試合に臨む心はことしもぶれていない。
新旧ドラ1が共演
ブルペンはキャンプ初日から大にぎわいだった。中でも目立ったのは山崎康、今永、新人浜口(神奈川大)の新旧ドラフト1位の共演。競い合うように球威あふれるボールを投じた。
3年目の山崎康は直球やツーシームなど63球を投げ、「初日から力のあるボールを投げたかった」と1球ごとに雄たけびを上げた。2年目の今永も「1試合で7、8回を投げるには100球投げて当たり前」とストレートを中心に120球を投げ込んだ。
浜口は直球にチェンジアップなどを交えて55球で調整。先輩たちに囲まれ「今までにない環境だったけど力まずに投げられた。球数を多く投げてボールが指に掛かる感覚を染み込ませたい」と笑顔だった。