大きな決断だった。
ラミレス監督が最重要課題に挙げていた正捕手の座にドラフト4位のルーキー戸柱(NTT西日本)を指名した。「現時点で競争は終わった」。残り10試合となったオープン戦でも多くの経験を積ませるため、優先的に起用していく方針という。
確かに25歳の成長は著しい。オープン戦チーム最多の4試合目となる先発マスクではベテラン久保康の好投を引き出した。
イニングを終えるごとにベンチで対話を重ね、配球の意図や決め球を確認。六回には2012年に盗塁王に輝いた大島の二盗を阻止するなど、強肩もアピールした。
この日、初めてボールを受けてもらった久保康は「ぶっつけ本番ながらうまくとめてくれた」とたたえれば、戸柱も「緊張したけど、タイミングの外し方や力の入れ加減は今後の収穫になった」と笑顔が広がった。
春季キャンプ。ブルペンではポケットに入るメモ帳に投手の特徴や気付いたことを記した。商売道具のキャッチャーミットは誰にも触らせず、就寝前に必ず磨いた。「1年目が駄目なら、もう駄目というつもり」。社会人生活3年を経て、プロにたどり着いた初心を一度も忘れたことはない。
「座った試合は勝つ。勝てるキャッチャーが理想」。ファンが詰め掛けたイベントで背番号10は力強く宣言した。新監督から託された思いを胸に、変貌を遂げるチームの象徴となってみせる。
久保康 貫禄漂う投球
ベテランの貫禄が漂った。オープン戦初登板の久保康が5回を2安打無失点。開幕ローテーション入りに前進した35歳は「良い感じに力を抜いて投げられた。オープン戦なので結果についてどうこうと言うことはない」と淡々と語った。
フォークボールやスライダーなど持ち玉の全球種を内外に投げ分けた。テンポの良い投球で5回を61球にまとめ、「理想的。中3日で何試合でも投げられそう」と満足げだった。(横浜)
初アーチに充実感
白崎がオープン戦初アーチを放った。初回先頭で左腕浜田達が投じた136キロの低めの直球をバックスクリーン左へ運んだ。4年目の25歳は「左投手の入ってくるボールをしっかり打てるように練習している。やってきたことができた」と充実感を漂わせた。
ラミレス監督からはリードオフマンとして期待されており、「相手投手が嫌がると思う」と本人も積極性を失わないように意識している。
左肩を手術した影響で春季キャンプは2軍スタートだったが、この日も2安打をマーク。初めての開幕スタメンに向けて、必死のアピールを続けている。(横浜)
熊原が開幕黄信号
ドラフト2位のルーキー熊原(仙台大)が予定されていた登板を回避した。この日の試合前のランニング中に、1日に痛めた右脇腹に再び違和感を覚えたという。
2軍での調整が決まった熊原は「まずは自信を持ってプレーができるように、けがを治すことを第一に考えて生活したい」と語った。ラミレス監督は登板をスライドさせることを示唆しながらも、開幕1軍入りは現実的に厳しくなった。
また、2番手で登板して2回2失点の小林が2軍落ちとなり、8年目の小杉が1軍に合流する。(横浜)
布陣発表にファン歓喜
球団創設5周年を迎えて、悲願の「優勝」を目標に掲げる横浜DeNAの壮行会が8日、横浜市西区のクイーンズスクエア横浜で開かれた。ラミレス監督が現時点でのベストオーダーを発表し、詰め掛けた約1500人のファンを盛り上げた。
オープン戦を終えたばかりのナインがずらりと並んだ。新監督は打順に求める役割を説明しながら1人ずつ紹介。4番を務める筒香や抑えの山崎康が呼ばれると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
横浜で優勝掲げ壮行会
ラミレス監督は「大変な作業だったが、平等な機会を与え、安定して結果を残した選手を選んだ」と自信をのぞかせた。主将を務める筒香は、「トリプルスリーを目指します。3割、30本(塁打)、3盗塁」と笑わせ、「新監督の下、全試合で勝ちに向かって突き進んでいきます」と約束。29日から始まる本拠地6連戦での後押しを呼び掛けていた。
また、この日から4月3日まで、筒香、三浦、梶谷の3選手がデザインされた12メートル四方の懸垂幕が同施設に飾られる。