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積極交流で選手育成 「80勝」背番号に込め

ベイスターズ | 神奈川新聞 | 2015年10月22日(木) 03:00

力を込めて来季への展望を語るアレックス・ラミレス新監督=横浜市中区のホテル
力を込めて来季への展望を語るアレックス・ラミレス新監督=横浜市中区のホテル

 横浜DeNAのアレックス・ラミレス新監督(41)が21日、横浜市内のホテルで就任記者会見に臨み、「優勝を目指したい。そこがゴール」と抱負を語った。2年契約で背番号は80。球団史上初の外国人監督で、22日のドラフト会議が初仕事となる。

 3年ぶりの最下位に終わったチームの再建を託された新指揮官は「筒香、梶谷を軸にチームづくりをしたい。ファームの若い選手を引っ張ってほしい」と期待。理想とするチーム像に「積極的な野球」を掲げながらも「(今シーズン)後半戦に落ちた事実は無視できない。やらなければいけない、ささいなことをしっかりできるチームにしたい。失敗を恐れずに、今季の経験を来季に生かしたい」とも語った。

 一方、現役時代は芸人のパフォーマンスをまねて人気を博したが「球場の中では控えさせていただく」と監督業に専念。これまでチームを指揮した経験はないが「素晴らしい機会をいただけてうれしい。夢がかなった。ファンが望んでいる優勝できるチームを目指して頑張ります」と笑みを浮かべた。

ラミレス新監督に聞く


 120人の報道陣が詰め掛け、期待の大きさを一身に受け止めた横浜DeNAのラミレス新監督。就任会見後、神奈川新聞社の単独インタビューに応じ、「Do it with Purpose」と目的を持って行動する大切さを、身ぶり手ぶりを交えながら熱く語った。

 -今季は前半戦を首位で折り返しながらも、最後は3年ぶりの最下位に沈んだ。現在のチームをどう分析しているか。

 「野球はマインド(心理的な)ゲーム。若い選手が理解することは難しい。長いシーズンなので、安定した(精神)状態をキープすることが重要となってくる」

 -どのように、そのマインドを強化するのか。

 「犯したミスは戻ってくることはない。翌日には新しい一日と気持ちを切り替え、反省をどう生かすか。常に目的意識を持つこと、新しい課題に取り組むことが重要だ」

 -日本では猛練習が自信を生み出すという考えもあるが。

 「そうは思わない。厳しい状況に追い込むことが、決して良い選手をつくるわけではない。良いコミュニケーションが、良い選手を育てる。厳しさよりもコミュニケーションを大事にしたい」

 -現役時代にはヤクルトで若松、古田監督、巨人で原監督、横浜DeNAで中畑監督のもとでプレーした。コミュニケーションの大事さを学んだ出来事があった。

 「(2001~05年の)若松監督は素晴らしかった。01年は我慢強く、使い続けてくれた。その機会がなければ、僕はこんなに長く日本にはいられなかった」

 -若松氏はどんな言葉を掛けてくれたのか。

 「自分の成績が悪く、2軍に落とされそうだった時に、『もっと逆方向に打つ意識を持ってください』と言われた。その一言で自分自身で気付いて、先発でも使い続けてもらった。そのアドバイスが印象に残っている」

 -若手が多いチーム。監督の一言、二言がより大切になってくる。

 「とても重要だと強く信じている。若い選手はどうやったら良い選手になれるのか。より良い選手になるために、コミュニケーションを取っていきたい」

 -外国人選手として初めて通算2千安打を達成するなど、現役時代は相手捕手の配球を読んで、好打率に結びつけた。嶺井、黒羽根、高城らが競う正捕手のポジションをどう見ているか。

 「確かにキャッチャー陣は若いし、経験が必要なのは言うまでもない。捕手はチームにとって、野球にとって最も重要なポジションだと信じている。多くの時間を使い一緒に過ごしたい」

 -どのように育成し、一本立ちさせたいか。

 「私の持っている知識と、若い捕手の知識を合わせて良いものを引き出したい。自分の知識と合わせることでメンタル強化にもつながり、良い捕手になるはずだ」

 -正捕手の確立ができれば、今季は最下位に終わったチーム防御率も向上していく。

 「投手陣はセリーグで1番良いラインナップがそろっている。キャッチャーの方向性が同じ目的に向かっていけば、それを証明できる」

 -その根拠はどこにある。今シーズンは規定投球回数に達した先発投手は誰もいなかった。

 「見ていたら分かること。監督になったら、こんな投手陣がほしかったという選手がベイスターズにはいる。キャッチャーを指導できれば、投手陣はリラックスし、自信を持って投げられる。投手陣と捕手陣を一つにすることが必要だ。チームも一つになれる」

 -10年連続Bクラスというチーム状態。ラミレス新監督自身、期待と不安があるはずだ。

 「確かにこのチームはずっとBクラスにいる。しかし、チームの能力からすれば、それ以上のものがある。Aクラスを狙うのではなく、優勝できるチームにするのが自分の狙い。ぎりぎりの3位ではいけない。勝つチームが自分の目標」

 「長い年月、多くのファンに応援してもらい、年々観客は増えている。ただ、自分たち(チーム)は同じところにいる。多くの人に応援してもらっているのは理解している。グラウンドでは競争するためではなく、勝つために試合をしていきたい」

 -「ラミちゃん」と呼ばれ、現役時代は選手からの人望も厚かった。だが、監督と選手という立場となり、非情な采配も時には振るわなければならない。その覚悟は。

 「私は勝つためにプレーしたい。もちろん、友達のような良い関係を築きたいが、そこは一線を引かなれければならない。勝つためのチームづくり、勝つために集中する。試合後に選手とはコミュニケーションが取れたら良い」

 -あえて「嫌われ役」にもなるのか。

 「それが野球だ。自分の決定は、チームのためにある。決して選手を満足させるためではない。自分もプレーヤーだったし、どちらのサイドも理解できる監督になる。重要なことは、チームが常に1番にあること。プレーヤーはチームが最優先に、自分は2番目に置くことを徹底させたい。だから、コミュニケーションが大事になってくる」

 -現役時代から守ってきたことや、監督になっても心掛けるところは。

 「何に対しても目的を持って行動する。フィールドに立ったからには、きょうは自分が何をするのか、何のためにやるのか、そういったことを意識しないといけない。意識することで自分は結果を残してきたし、選手として成長してきた。若い選手たちにもそうやって取り組んでもらいたい」

 -秋季キャンプは11月に行われる。

 「自分から話すのではなく、選手がどう考えて野球をしているのかを知りたい。自分の能力をどう理解して、それを伸ばすためにはどうしたら良いか。それに向かって取り組んで欲しい。監督としてはそれを後押しをしたい。教えるだけではなく、選手からも聞きたい」

 -念願の監督就任。これまで積み重ねたもので生かしたいことは。

 「現役時代はすべてのキャッチャーと、投手の特徴などをノートに取っていた。その秘密を自分のチームに共有していきたいと思っている」

 「(采配などについては)特にノートやメモは取ってきてない。(08~11年の)原監督ら監督経験が豊富な人たちと、良くコミュニケーションを取ってきた。すべての戦略は頭に入っている」

 -今の率直な思いを。

 「大変興奮している。責任もあるけど、自分自身にも高い期待も懸けている。優勝という目標を満たすために一生懸命やっていきたい」

 -背番号「80」を選んだ理由は。

 「来年、最低でも80勝することが優勝するために必要。そのために背番号を選んだよ。そうできると強く信じている」

打撃理論と情熱評価



 横浜DeNAの高田ゼネラルマネジャー(GM)はラミレス氏に白羽の矢を立てた理由について、現役時代の打撃理論と指導者への情熱を挙げた。「チームだけでなく、日本野球をよく知っている。作戦面や起用など初めてだから不安もあると思うが、サポートできる人を集めている。良い結果を出してくれるはず」と期待した。

 池田社長によると、GM制度など球団の方針を理解している点や、現有戦力の把握もポイントだったという。同社長は「選手、チーム、スタジアムのことも良く分かっている。秋季キャンプから準備を重ねて、(来季は)勝ってもらいたい」と望んでいた。


 アレックス・ラミレス氏 米大リーグ、インディアンスなどを経て01年にヤクルト入り。03年に本塁打王と打点王に輝く。07年は204安打をマーク。巨人に移籍した08年から2年連続でセ・リーグ最優秀選手(MVP)に選出され、10年には本塁打と打点で2度目の2冠獲得となった。横浜DeNA2年目の13年に外国人選手として初めて通算2千安打を達成した。独立リーグでプレーした14年を最後に現役引退。ことしはオリックスの巡回アドバイザーを務めた。プロ野球通算1744試合で2017安打、打率3割1厘、380本塁打、1272打点。41歳、ベネズエラ出身。


独占取材に応じ、新シーズンへの展望を語るラミレス新監督
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期待する選手として筒香と梶谷らの名を挙げ、表情を崩すラミレス新監督
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新監督就任の喜びをポースで表現するラミレス氏
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来季への意気込みを色紙に書き記すラミレス新監督
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報道陣が待ち受けるなか、就任会見に臨むラミレス新監督
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身振り手振りを交え記者会見に応じるラミレス新監督(左から2人目)
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池田球団社長(左)、高田GM(右)と記念撮影に応じるラミレス新監督
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Vサインで来季の躍進を誓うラミレス新監督
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来季へ意気込むラミレス新監督
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