
◇鬼門突破へ戦力充実
プロ野球の日本生命セ・パ交流戦は26日に開幕する。11年目の今季は試合数が昨季までの各チーム24試合から18試合に減り、両リーグが所属球団の合計勝利数を争う、リーグ対抗色の強い方式が導入された。
各カードとも本拠地と敵地での3試合を隔年で行うため、優勝チームは決めず、その代わりに通算勝利数で勝ち越したリーグの6球団と最高勝率球団に賞金が贈られる。
優勝を決める方式だった過去10年の交流戦では、巨人の2度を除いて全てパのチームが制した。リーグとしてもパが2009年以外は全て勝ち越している。
最高勝率チームには賞金500万円。勝ち越したリーグの球団には順位に応じて100万円から1千万円の賞金が贈られる。
●投手陣のフル稼働示唆
11年目の交流戦に初めてセ・リーグ首位として挑む横浜DeNAの快進撃は続くのか。昨年は7年ぶりに交流戦で勝ち越したが、過去10年で7度も負け越している鬼門でもある。中畑監督が掲げる「諦めない野球」を支える投打の象徴が、過去の相性の悪さを吹き飛ばし、勝負の夏に結びつけたい。
■主 砲
ここまでリーグ最多の15試合の逆転勝ち。その勢いを引き出しているのは、間違いなく今季からキャプテンで4番を務める筒香だ。
5月2日の中日戦。2点を追う九回も2死を取られた。それでも、筒香の全力疾走した内野安打から5連打で一挙4点を奪って逆転勝ち。同22日の阪神戦でも0-5から筒香の3ランで追い上げ、最後は今季2度目のサヨナラ勝ちを収めた。
打撃3部門でリーグトップに君臨。「いくら打っても、チームが負けたら意味がない」が23歳の口癖だ。右太もも裏を痛めた影響は懸念されるが、中畑監督は「代打ででも継続して立たせたい」と信頼は揺るぎない。
■守護神
並大抵のルーキーではない。リーグトップタイの17セーブを記録する山崎康。新人記録の9試合連続セーブをマークするなど、「最後のマウンドに立てる喜びがある」と、勝利の方程式の砦を堂々と担う。
今季は2点差以内の試合は20勝11敗と、昨季の33勝33敗から大きく改善。この強心臓右腕の奮闘は、やはり交流戦でも鍵となりそうだ。
24日の阪神戦では九回に危険球で退場したが、「今後もセーブの機会で、もちろん行ってもらう。性格的にもそこまで尾を引かないだろう」と川村投手コーチ。交流戦で、背番号19が最初に投げる1球が注目される。
■戦 略
強打で鳴らすパ・リーグとの対戦。中畑監督は「パンクするくらいの戦いをしないと勝てない。先発に固執せず、悪かったらつないでいく」と、勝利をもぎ取るために、ブルペンのフル稼働を示唆する。
26日からはパ・リーグ最下位のオリックス、同4位のロッテとの6連戦。ここで貯金を稼いでおきたいところだが、25日には開幕ダッシュを支えた中継ぎの小杉と田中を2軍に送り、林、大原の両左腕を昇格させる予定。糸井、T-岡田(オリックス)、角中、福浦(ロッテ)ら左の強打者対策にも余念がない。
先発陣も、交流戦の重みを理解する。26日のオリックス戦で先発予定の久保が「交流戦で気持ちを切り替えて、勝ちにこだわってやっていきたい」と言えば、対ロッテの初戦が濃厚な山口も「カードの頭が特に重要になる。力勝負もあるが、場面に合わせて投球したい」と力を込めた。