横浜DeNAの春季キャンプで最初の休日となった6日、2軍がキャンプ地の沖縄・嘉手納野球場から宜野湾市立野球場に場所を移し、トレーニングを行った。1軍の選手はそれぞれ自由時間を過ごした。
前日に続き、日米で活躍した松井秀喜氏が2軍の練習を視察。中畑監督とともにシート打撃などを見守り、荒波や赤堀にアドバイスを送った。キャンプ終盤から合流予定の多村や後藤も順調にメニューをこなした。
全体練習後には松井氏が打撃投手を務めて中畑監督と対戦し、ファンを喜ばす場面もあった。春季キャンプ第2クールは7日から11日まで同球場で実施。8日に紅白戦が組まれるなど実戦に入っていく。
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2軍でマイペース調整を続けているプロ21年目の多村だが、もちろん先発の座を虎視眈々と狙っている。天才肌のベテランは「ここまでずっとセンスでやってきたけど、努力の先にあるさらなる上の世界を目指す」と宣言する。
宜野湾に練習場所を移したこの日。シート打撃で2打席に立ちながら一度もバットを振らない。球筋を見極めて審判のコールを受けてから、軌道をなぞるようにスイングした。「今年初めて打席に立ったので、動体視力を確かめたかった」。経験豊富な37歳に焦りや不安はない。
キャンプイン前に、中畑監督から電話で要請された。「(第4クール初日の)19日から合流できるようにしてくれ」。昨季は8月に両アキレス腱を痛めて、1年間戦えなかった。その反省も踏まえ、昨季から体重を3キロ増やし、83キロを維持する。「走ることが少なくなったので、パワーを付けてみよう」。2日に1度のウエートトレーニングも欠かさない。
視察に訪れた松井氏と会話し、刺激を受けた。「久しぶり。頑張ってるね」。かつて背番号55を付けた時期があるほど憧れていた強打者から言葉を掛けられ「自分のようなベテランでも松井さんと会話するのは楽しい。湧き上がってくるものがあった」という。
サインしてもらったバットを大事にしまう姿は野球少年のよう。軽やかに球場を後にした。
【神奈川新聞】