プロ野球のNPBアワーズが26日、東京都内のホテルで開かれ、今季の最優秀選手(MVP)にセ・リーグは巨人の菅野智之投手(25)、パ・リーグはオリックスの金子千尋投手(31)がともに初選出された。最優秀新人(新人王)にはセが広島の大瀬良大地投手(23)、パはロッテの石川歩投手(26)が選ばれた。
横浜DeNAからは、盗塁王のタイトルを初めて獲得した梶谷隆幸外野手(26)と、5年ぶり2度目となるセ・リーグ特別表彰のスピードアップ賞を受賞した三浦大輔投手(40)がアワーズに出席した。
表彰式などを行うNPBアワーズは昨年までのプロ野球コンベンションから名称が変更された。
◇盗塁王・梶谷 ~理想へ突き進む~
スター選手だけに許されたひのき舞台。「今まで携わっていただいた皆さんに感謝しています」。普段は物おじしない26歳もさすがに、緊張を隠せなかった。「またここに立ちたいと思える場所だった」。壇上から降りた梶谷は目を輝かせながらそう言った。
39盗塁をマークし、球団では2000年の石井琢朗(現広島内野守備・走塁コーチ)以来、14年ぶりの盗塁王のタイトルをつかんだ。昨季は77試合でわずか7盗塁。32個の上積みは、技術の鍛錬に加えた打席での我慢にある。
「フォアボールはヒットと同じくらいの価値がある」と意識して打席に立った今シーズン。四球はリーグ5位タイの70個を稼いだ。塁に出なければスチールはそもそもできなかった。
来季はさらにマークが厳しくなるだろう。それでも「相手の出方も、今シーズンの終盤と大きくは変わらないはず」とどっしりと構える。ただ、このオフも「もちろん映像を見たり、準備はしておく」と言う。
来季に向けた課題は三振の数にある。今季135個を数え、エルドレッド(広島)の169、ゴメス(阪神)の166に次いでリーグ3位。「盗塁はもう、当たり前にしたい。打撃の全てにおいてレベルアップしたい。(来季は)最高出塁率のタイトルを狙う」と早くも息巻いている。
沢村賞やMVP、球史に名を残す選手たちと同じ舞台を踏み「まだ場違いな感じはする」とにやり。その視線の先には3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーがある。理想を求め、これからも突き進む。【神奈川新聞】