
後半戦初戦のゲームで先発がわずか5球で姿を消してしまう非常事態。いきなり2点を奪われる重苦しいムードを、快音とともに一気に吹き飛ばしたのは復活した主砲のバットだった。
左太ももの肉離れから復帰し、球宴でも自慢のバットで魅せたブランコだ。ファームで体重を5キロほど落として体を絞ったという助っ人のスイングは切れを増していた。
まずは一回だ。1点を返し、さらに押せ押せのムード。高めの直球を捉えた打球は左翼スタンドへ突き刺さった。5月29日以来の5号2ランに沸くスタンドに背番号42も感慨深げだ。「復帰第1打席でホームランを打てるとは思わなかった。ファンの前で見せられてよかった」
見せ場はこれだけに終わらない。同点に追いつかれて迎えた三回1死二塁。バットを折りながらも、はじき返した打球は中前に落ち、再び勝ち越しの走者をホームに迎え入れた。
グリエルが左脇腹痛から戦線を離脱。その穴を埋めるかのように戻ってきて3打点を挙げた。
中畑監督は「彼の復帰を勝ち試合で飾れなかったのが残念」と不満そうだったが、「非常に嫌な雰囲気を立ち上がりから一発で変えてくれた」とあらためて存在の大きさを感じた様子。待ちに待った主砲が復帰し、打線の歯車が回り始めていく予感がする。
【神奈川新聞】