
プロ野球セ、パ両リーグは8日、6月の月間最優秀選手(月間MVP)を発表し、セは山口投手(横浜DeNA)と菊池内野手(広島)、パは則本投手(楽天)と李大浩内野手(ソフトバンク)が選ばれた。菊池、則本は初受賞、山口は救援だった2009年4月以来で2度目、李大浩はオリックス時代の12年7月以来で3度目。
山口は6月から先発に転向し、4試合で3勝1敗、防御率0・99。横浜DeNAからは5月の井納投手に続く受賞で、投手の2カ月連続受賞は大洋、横浜を通じて球団初。菊池は出場全18試合で安打を放ち、打率4割をマークした。
◆生まれ変わり「先発の柱」
「死に物狂いでファームでやってきたことは、間違いではなかった」。抑え失格の烙印(らくいん)を押されながら、先発としてよみがえった山口。試練を乗り越え、5年ぶりの栄誉に輝いた背番号11の胸に熱いものが込み上げた。
初受賞の2009年4月は、セットアッパーとして2勝0敗5ホールド(防御率0・64)。その後、不動のクローザーとして君臨し、2012年には史上最年少で100セーブを記録した。
だが、13年はわずか7セーブ。今季は開幕から中継ぎとして稼働し、14試合で防御率7・62。5月初旬に2軍降格したが、先発転向を決断して活路を見いだした。
「中継ぎ、抑えにプライドがあるから複雑な気持ちもあった。けど、自分を新しく生まれ変わらせたかった」。走り込みで体を絞り、投球スタイルも一新した。従来の150キロ超の直球とフォークの組み合わせに、カーブとスプリット、シュートを織り交ぜて打者を翻弄(ほんろう)。6月1日のロッテ戦で、先発として7年ぶりの白星を挙げたのを皮切りに3連勝し「先発の柱ができた」と中畑監督を喜ばせた。
先発転向に伴い「一番の夢」も果たした。7月1日の中日戦(金沢)でプロ初アーチ。記念のホームランボールも手に入れ「野手と違って打席でプレッシャーがないし、純粋に野球を楽しめている」と表情をほころばせる。
井納に続く受賞に「毎年、投手がだめと言われていた球団だからうれしい。自分の勝ち負けより、ゲームをつくることに必死に取り組みたい」。復活を遂げた26歳の右腕が、チーム浮上の原動力となる。
【神奈川新聞】