【フルマーク】井納 スイスイ7勝目/日ハム戦から
ベイスターズ | 神奈川新聞 | 2014年5月24日(土) 03:00

九回2死二塁。131球目のスライダーはまだ切れていた。難なく三ゴロに打ち取り、井納がプロ初完封でリーグトップタイの7勝目。それでも第一声は「疲れました」。ひょうひょうと答えるあたりが、つかみどころのない右腕の魅力だ。
直球に切れがあり、変化球も抜群だった。四回には中軸を難なく三者凡退に抑えるなど、散発4安打、しかも奪った三振も2桁に乗った。
2軍暮らしも長かった昨季から一転、最多勝争いに名乗りを挙げるまで成長した。ただ川村投手コーチは「シュート回転する球は減った。でもボール自体は大きく変わっていない」と言う。
秘けつは二つある。一つは投球のテンポ。井納が登板する試合は平均4・77得点で、チーム平均3・73得点よりも多い。梶谷は「ぽんぽん投げているから守りやすい。たまにスパイクのひもを結んでいる間に投げているくらい」と笑う。
さらに昨季は1試合平均で3・53個を数えていた四球が今季は2・09個に激減。「ベース上で勝負することを1年間のテーマにしている」という意識が奏功している。
不用意なボールが減り、指揮官も「一球一球に目的意識を感じる」とプロ2年目に賛辞を贈る。過去のドラフト1位指名を押しのけ、昨季27歳で球界に飛び込んだ右腕がエースへの階段を地道に登っている。
【神奈川新聞】