「将来の夢」と題した小学校の卒業文集に、横浜DeNAベイスターズの東克樹(23)はこうつづっていた。
「僕の将来の夢は、まず、とても野球の強い高校に入って、甲子園で優勝して、プロ野球にドラフト一位で入団することです」
ほとんど、その筋書き通りに、野球人生を歩んできた。東自身は「あの時の夢は、誰もが書くみたいなもの。プロに行けるなんて思っていなかった」と笑うが、母由紀(50)の思いは違っていた。野球に夢中になる長男の思いに応えようと必死だった。
克樹が地元の硬式野球チーム「四日市ボーイズ」に入ると、由紀も看護師として働きながら独学で栄養学を学んだ。「投手は体力を一番消耗するんだから食べなさい」と鶏肉や魚が中心の食事で、筋肉質の体に育て上げた。プロ入り後、イニング間にベンチでバナナを頬張る姿が話題となったが、「すぐ栄養を吸収するから」とアドバイスを送ったのは母だ。
泥だらけのユニホームも本人に洗わせた。「高校では三重…