来季を34歳で迎えるベイスターズの救援右腕、藤岡好明が初心に帰るべく汗を流している。チームで日本人選手最年長となるベテランは大家2軍投手コーチの助言を受け、「守りに入っていた」自らと決別することを誓った。
長浦のブルペン。大幅に改造した投球フォームを体に染み込ませようと、プロ13年目のリリーバーは球数を重ねた。
左足を後ろに踏み出し助走をつけるような予備動作で投球を始め、球に勢いを生む。「年を重ねるにつれて軸足のためがなくなっていた」。今季は登板15試合で防御率6・14。走者を置くと被打率2割と抑えた一方、無走者では3割5分。明確な課題と向き合い、乗り越えようとしている。
年齢を重ねて失ったものは球威だけではない。相手打者に真っ向勝負を挑む姿勢も「5年、10年前はあったはず。後悔しないようにと守りに入っていた」。気持ちの問題だと気付かせてくれたのは大家コーチだった。
9月末の2軍最終戦。登板した計11投手には現役を引退する加賀らが名を連ねた。自身の戦力外を悟る者、現役最終登板と覚悟する者…。秋特有の空気を肌で感じながら、自身も「最後かもしれない。後悔したくない」との思いを抱いた。
そんな考えを見透かされたのだろう。大家コーチは試合前の投手ミーティングでげきを飛ばした。「自分にとって最後だというのは抜きにしろ。チームは勝つためにやっている」。その時、春先から言われ続けた「目の前の打者と勝負しろ」との言葉の意味を知った。
救援陣再建へ。ラミレス監督が求める「中継ぎ投手の回またぎ」は自身の理想とも重なる。「DH制のあるパ・リーグ特有だけど」と前置きして、ソフトバンク時代を振り返り「回をまたいだ投手とその日休めた投手で交互に投げて、連投を減らす」。思い描くのは「中継ぎローテ」。その中心を担う意気込みを口にした。
「大家さんの言葉が全ての根幹。たくさん投げて真剣勝負でわくわくしたい。しんどいけど楽しいし、成長につながるんです」