ベイスターズの日本人野手最年長となった石川雄洋(32)が、悲壮な決意を胸に来季を迎えようとしている。横浜高の先輩・後藤らの現役引退に「苦しかった時、一緒に戦ったメンバーがいなくなる。そういう人たちのために少しでも(現役を)続けたい」と思いを込める。
今季は開幕から6月末まで2軍暮らしが続いた。1軍のチーム成績が下降線をたどった頃、「ここで呼ばれなければ俺もいよいよ。覚悟しないといけない」と腹をくくったという。7月1日に声が掛かった。出場数は入団1~3年目に次いで少ない41試合にとどまったものの、二塁での先発や途中出場で、犠打やヒットエンドランなどを渋く決め、ベテランとしての存在感を示した。
「後藤さんがいたから2軍でも腐らず、気持ちを切らさずやれたし、1軍に上がれた」。後藤が流儀としてきた「若手の前で、練習の手を抜かない」との教え通りに汗を流し続けたからこそ、コンディションを維持できたという。
その後藤は今季限りで現役を引退し、楽天の2軍打撃コーチとなった。横浜高の1年先輩・荒波や、成瀬(前ヤクルト)も戦力外となった。「みんなにかわいがってもらえた。寂しいし、正直ちょっと落ち込んだ」。プロ15年目の来季はチームで日本人野手最年長選手となる。球団幹部からは「若い選手を手助けしてほしい」と頼まれたというが、「脚は若手に負けないくらいでいたい。動けなくなったらもう終わり」と選手としてもう一花咲かせるつもりだ。オフは走り込みで、体の切れを取り戻したいという。
1千万円減の推定年俸4500万円で契約更改した18日、石川は球団幹部とのやりとりを、はにかみながら明かした。「いい方向に変わったね、人間が丸くなったなって言われました」。節目の通算千安打まで残り18本となったが、この思いは強くなる一方だ。「千本よりもチームのための1本が大事なんで」