新時代のベイスターズにはフレッシュな力が必要だ。広島との開幕カードではドラフト3位の伊勢大夢投手と同6位の蝦名達夫外野手が1軍登録を勝ち取った。ファンから「イセエビ」の愛称で親しまれるピチピチな2人が1軍を活性化させられるか。
背番号13、伊勢が大きな期待を抱かせた。デビュー戦となった20日の広島戦。九回から登板した右腕は初登板の緊張をものともせず、最速152キロの直球で押した。失策が絡んで1点は失ったが、田中広から自慢のストレートで見逃し三振を奪うなど、「第一歩を踏み出せた」とかみしめた。
明大時代に中継ぎとして生きる道を決めた。熊本・九州学院高では3年時に主戦として春夏連続で甲子園に出場したが、明大ではエースの座には後に広島から1位指名を受ける森下暢仁が君臨。善波達也監督から「プロに行くならリリーフ向き」との指南も受け、地道なウエートトレーニングで球速を磨いた。
ことし1月に交通事故を起こして出遅れた。ベイスターズのコーチは「無理をするなよ」と言ってくれたが、退寮する際に森下と交わした約束を忘れることはなかった。
「次は1軍で会おう」
そのライバルより一足早くプロの舞台に立った伊勢は力を込める。「チームの力になれるようにしっかり準備したい」
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その豪快な一振りには無限の可能性を秘める。青森大を卒業するまで地元一筋だった蝦名は「青森の野球少年、少女の憧れになりたい」と笑う。
1軍スタートだった春季キャンプは左手薬指骨折の影響で、わずか3日でファームに合流した。
それでも、身体能力の高い185センチはリハビリ期間を無駄にはしなかった。下半身を中心に鍛えて体重を3キロ増やした。「落ち込んだ時もあったが、気持ちを入れ替えてしっかり取り組んだ」
ラミレス監督も負傷明けのスラッガー候補を手元に置くことを決め、「1軍でどれだけ通用するかを見てみたい」。6月の練習試合では9打数無安打、この3試合でも出場機会はないが、「先輩の良いところを盗んで結果を出したい」。自身の記念すべき一打で、21日のサヨナラ勝ちの勢いを加速させるつもりだ。