ルーキー 新時代の7選手(3)
ドラ5位・田部隼人 伝説が示す大器ぶり
ベイスターズ | 神奈川新聞 | 2020年1月27日(月) 10:00

スラッガーの系譜を受け継ぐ原石らしい「伝説」を残した。島根・開星高2年時の2018年10月2日、松江市営野球場で行われた県大会準決勝・大社高戦。バッターボックスに立った田部隼人は、その光景に目を見張った。
二塁ががら空きの外野4人の陣形が敷かれていた。球場もざわついていた。左方向に引っ張る癖を分析され、右の大砲はこの日、徹底的に内角攻めに遭った。それでも強引に左前打を2本放つなどし、奇策をはね返した。0─2で試合に敗れはしたが、素材の高さをうかがわせた。
その姿は高校時代に横浜高・渡辺元智元監督に外野4人で警戒された横浜DeNAの田代富雄チーフ打撃コーチに重なる。筒香が入団時につけた「55番」を背負うにふさわしいエピソードは、今や語り草になっている。
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あこがれたプロの世界。だが昨秋のドラフト指名の瞬間は、まだ戸惑いがあった。「果たして自分は通用するのか」。最後の夏は石見智翠館高との島根大会決勝で2ランを放つも延長十三回に押し出しサヨナラ負け。一度も甲子園に導くことはできず、結果を残したとは思えなかったからだ。