来季4年目を迎える右腕は、胸に刻まれた「屈辱」を糧に新シーズンへの準備を続けている。今季プロ初勝利を挙げた飯塚悟史投手(21)。野球人生の足場を築いた充実感以上に、背番号30を突き動かすものとは-。
あの日を忘れたことはない。9月13日、マツダスタジアムでの広島戦。8度目の先発となった飯塚は、味方が2点を先制した直後の初回にいきなりつかまった。田中の先頭打者アーチを皮切りに7安打を許し、一挙6失点。リーグ一の破壊力を誇ったカープ打線に、カウントを整える直球や変化球を痛打された。
プロ入り最短の1回KOで、チームが5月30日から守ってきたAクラスからも陥落した。「大事なところで使いたいボールが見極められた。1試合トータルで考え、投げられるようにならないと」。8月30日に挙げた初勝利の喜びの余韻は消えた。
突き付けられた現実。19年ぶりの日本シリーズ進出を遂げたチームにも帯同できなかった。「1年間戦う上では、もっと強くないといけない」。今オフはウエートトレーニングに重点を置き、体重を3キロ増の88キロにする計画だ。
秋季キャンプでは左くるぶし付近の炎症で、日本シリーズを終えた首脳陣の合流前に離脱。「自分として不本意なところもある。春季キャンプではすぐにアピールできるように、新たな環境で追い込みたい」。過去2年間は横須賀で過ごした1月は、温暖な沖縄で自主トレーニングに励む予定という。
来季を勝負の1年と自覚する。今永、浜口らが並ぶ左腕とは対照的に、右腕は井納、ウィーランドと層はそう厚くない。
「井納さんを突き上げないと。誰もが開幕1軍を狙う中で、良いスタートを切りたい」。来年4月17日には、今季雨天中止となった故郷・新潟での巨人戦が組まれている。若きスター候補は、開幕ローテーション入りの先を捉えている。
宮崎が29歳の誓い
12日に29歳の誕生日を迎えたばかりの宮崎は「チーム的におじちゃんの方ですが、普通に(若手に)負けないように、ポジションを譲らないように頑張りたい」と誓いを立てた。
13日は横須賀の練習場で入念に体を動かしてから、室内でバットを振り込んだ。今季の首位打者は「感覚を忘れないように。あんまり間を空けるのが嫌なので」と6年目の来季への調整に余念はなかった。