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横浜DeNAベイスターズ
躍進の裏側(1)「強化と事業 大急ぎで」

ベイスターズ | 神奈川新聞 | 2019年12月28日(土) 10:00

ハマの主砲筒香(左下)が米大リーグに移籍しても、ベイスターズの(上段右から)南場オーナーと岡村社長は、就任5年目のラミレス監督(右下)の手腕で優勝することを期待している
ハマの主砲筒香(左下)が米大リーグに移籍しても、ベイスターズの(上段右から)南場オーナーと岡村社長は、就任5年目のラミレス監督(右下)の手腕で優勝することを期待している

 3万1807人が生み出したボルテージが全てを物語っていた。10月7日、横浜スタジアム(横浜市中区)で行われたプロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦。1点を追う九回、横浜DeNAベイスターズの先頭打者、主将の筒香嘉智外野手(28)のバットが空を切る。後続も倒れて試合に敗れ、激闘の2019年シーズンが終わった。

 セ・リーグの頂点には届かなかった。だが21年前に優勝して以来、最高順位となる2位、さらに球団初の本拠地開催となったCSを戦い終えた選手たちに、超満員のスタンドから万雷の拍手が送られた。


 IT大手ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区)が、TBS(同港区)からベイスターズ球団を譲り受けたのは2011年12月のことだった。その年には年間110万2192人まで落ちこんでいた主催試合の観客動員数は、翌12年シーズンから右肩上がりで増え続け、横浜スタジアムの右翼席を増席した今季は「まさかここまで入っていただけると思わなかった」(南場智子オーナー)という228万3524人を動員し、11年と比べて倍増以上の伸び率を記録した。

 この増え方はもちろん12球団で断トツだが、岡村信悟球団社長(49)は「IT企業らしくビッグデータを使って分析する段階にまだ至っていない」と打ち明ける。来季も左翼席を増席予定で、まだまだ手を尽くせば伸びしろがあると確信しているのだ。

 チームも強くなった。02年~11年の10シーズンでは8度も最下位に沈み、ベイスターズにとって“暗黒時代”が続いていたが、近年は筒香、山崎康晃投手(27)らリーグ屈指の選手が育ち、アレックス・ラミレス監督が就任した16年以降は3度も3位以上に食い込んで、2017年には19年ぶりとなる日本シリーズにも進出した。

 スタンドに閑古鳥が鳴いた時代の面影はもはやどこにもなく、38年ぶりの日本一に横浜が沸いた1998年のような盛況がここ何年も続いている。98年当時、親会社マルハから出向して球団社長を務めていた大堀隆氏(76)は「あのころは、勝つのが最優先。そうすればお客さんが入る」と、チーム強化第一の運営に当たっていたと述懐する。

 かたや、2013年にディー・エヌ・エーから出向し、球団経営に携わってきた三原一晃代表(51)は「チーム強化、事業面どちらも大急ぎでやった。結果的に事業のほうが早く成果が出た」と振り返る。

 人気が低迷していた当初はチケットの「全額返金キャンペーン」など奇抜な企画を展開し、話題をさらった。ターゲット層だった1998年の優勝を知る20代後半から30代の「アクティブサラリーマン」がハマスタに回帰し、さらに野球に関心がなかった女性たちをも巻き込み、今や12球団で最もチケット入手が困難なチームへと進化した。

 やがて実力もリーグ屈指となり、今やだれもが勝利を期待している。南場智子オーナー(57)は「来年はもう優勝しかない」と2020年には球団3度目の日本一しか見ていない。

 「DeNA」がプロ野球球団を経営して8年が過ぎた。IT業界の「最先端集団」がベイスターズを生まれ変わらせた躍進の裏側を、チームづくりとビジネス戦略の両面から探る。

 
 

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