横浜DeNA 2年目のラミレス野球
夢のあと(7)若きナイン、経験した悔しさ 「来年こそ」
ベイスターズ | 神奈川新聞 | 2017年11月12日(日) 10:37

12球団が夢見た最高峰の舞台まで上り詰め、頂点に迫った「若き」ベイスターズナイン。投打のスターの前に立ちはだかった壁は、さらなる成長を促しているようにも見えた。
レギュラーシーズンで本塁打と打点を昨季より16ずつ減らした筒香は、ポストシーズンでも厳しい攻めに苦しんだ。全14試合で打率2割8分3厘、4本塁打、9打点は満足できる数字ではないだろう。

クライマックスシリーズ(CS)まで順調に役割を果たした守護神・山崎康も、最後につかまった。第6戦、1点リードの九回1死からベテラン内川に同点ソロを被弾。右腕はいま日の丸を背負い、悔しさを払いのけるように腕を振っている。
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19年前と今年の日本シリーズ第6戦をスタメン年齢で比較すると、その若さが際立つ。1998年の平均28・7歳に対し今回は26・5歳。今年相まみえたソフトバンクは30歳を超えていた。
球団でトレーニングコーチを務めて三十余年、日本一メンバーを知る塚原賢治コンディショニンググループリーダー(52)は懐かしむ。「(石井)琢朗、波留に佐伯、谷繁、進藤。あのチームは昭和45年生まれが引っ張った。場数も踏んでいて、脂も乗っていた」。足りなかった「経験」を積み、大輪の花を咲かせる日はきっと近い。
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育成と結果と-。若いチームには避けて通れない課題だ。ともすれば相反する強化の歯車は新球団6年目のいま、かみ合いつつある。

今季は高卒2年目の綾部、同3年目の飯塚に同4年目の平良がそろってプロ初勝利を飾った。ラミレス監督も「彼らがチームの将来を支えてくれる」とたたえる。

2軍では高卒ルーキー京山も躍進を遂げた。先発ローテの一角としてチームトップの99回1/3に登板。高卒新人がファームで規定投球回に到達したのは、2002年の秦裕二以来だ。その前は1992年の三浦大輔までさかのぼる。

高卒ドラフト1位の投手を育てきれず、入団3年ほどで戦力外を通告した暗い過去は、ほんの数年前のこと。「育成は長年の課題」と認めてきた球団幹部も「いいサイクルが生まれた」と手応えを示す。
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「この舞台で戦うことが不思議」「本当にここまで来たのか」。未来ある選手たちを起用し続けた結果、日本シリーズではやや浮足立つ若手の姿もあった。
ただ、ソフトバンクと渡り合い、敗退を喫した後の目の色は違った。山崎康は「この悔しい思いを、経験して良かったと思えるものにしたい」、キャプテンも「最後は負けたけどこの経験は絶対生きる。来年はリーグ優勝しないといけない」。胸にともった炎は、さらに燃えさかった。
昨季のCSファイナルステージ進出がフロックではないことを証明した今季は、来季のためにある。この快挙をリーグ優勝、日本一という果実に実らせる戦いは、オフから始まっている。
=おわり
