信頼得た“一日一善” 「成長することが責任」
シーズン終盤に、二塁のレギュラーを自分のものにした。9、10月の全25試合でスタメン落ちは1試合だけだった2年目の柴田。ラミレス監督は「彼の守備力は、短期決戦で助けになる」と、クライマックスシリーズ(CS)でも二塁で先発起用する方針を明言している。
今季のラミレス監督との約束は「一日一善」。ヒット1本でも、好守でもいい。その言葉に沿った地道な積み重ねで首脳陣の信頼をつかみ、「毎試合、毎試合が勉強。成長することは試合に出る人の責任」と、レギュラーとしての自覚を強めてきた。
軽快なフィールディング、グラブさばきは入団時から定評があった。昨季はルーキーながら開幕スタメンに名を連ね、球団の新人では史上初の開幕戦決勝打。だが、その後1カ月余りで2軍落ちを告げられたのは「強い打球を飛ばせない」からだった。
この1年間、地道な体幹トレーニングも重ね、オフを含めてバットを振り込んできた。今季は5月6日のヤクルト戦で自身初のサヨナラ打。6月上旬に左脇腹痛で2軍落ちしても、患部に負荷をかけない程度に、またバットを振り続けた。
昨年のCSは、宮崎で参加していたフェニックスリーグの宿舎のテレビで観戦していた。「悔しいし、恥ずかしいし。置いていかれていた」。ファーストステージで巨人を倒して盛り上がる同期の今永らの勇姿が忘れられない。
たくましくなった23歳は迫り来る初のCSを前に、心を躍らせているわけではない。「リーグ優勝という最初に掲げた目標を達成できなかった。だから自分も含めて、全員が満足していない。勝負はここから」。勝負の2年目。阪神、広島を相手にした決戦で、1年越しの思いをぶつけていく。